ホワイトニング用の薬剤には、「過酸化水素(かさんかすいそ)」という成分が含まれています。

歯磨き粉やうがい薬と同じく、ホワイトニング用薬剤も一旦は口に入るものですから、「過酸化水素の安全性が心配…」という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、ホワイトニング用薬剤に含まれる過酸化水素の作用や安全性についてお伝えします。

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ホワイトニング用薬剤の過酸化水素には歯を白くする作用がある

ホワイトニング剤には、歯を白くするための成分として「過酸化水素」または「過酸化尿素(かさんかにょうそ)」が含まれています。

“オフィスホワイトニング剤＝過酸化水素”、そして”ホームホワイトニング剤＝過酸化尿素”という分け方で説明されることもありますが、実際はそのどちらも含まれる薬剤も存在します。

ホワイトニング剤に含まれる過酸化尿素は、歯を白くする過程で過酸化水素に変化します。つまり、実際にホワイトニングの効果を発揮するのは過酸化水素だと考えてよいでしょう。

また、ホワイトニング剤には、主成分以外にも以下のような成分が少量ずつ含まれています。

• 増粘剤
• 保湿剤
• 固結防止剤

これらの成分は、ホワイトニング剤を使いやすくし、効果を安定させるために配合されています。

ホワイトニング剤の過酸化水素は人体に影響しないの？

「そもそも過酸化水素って口に入っても大丈夫なの？」という疑問を持たれる方も多いかと思います。

結論から述べると”ある特定の方”を除いて、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素は、酵素(こうそ)の働きで勝手に「酸素」と「水」に分解されるため、口に入れても大丈夫です。

50cc以上のホワイトニング用薬剤を飲み込むと、人によって下痢を起こす可能性があると言われていますが、ワザとでない限り、50cc以上のホワイトニング用薬剤を飲み込むことはほぼ考えられないため、心配し過ぎなくてOKです。

日本国内では、過酸化水素入りのオーラルケアアイテム(歯磨き粉やセルフホワイトニングキット等)は未だ認可が下りていないため、薬局などでの市販はされていません。

しかし、アメリカなどのオーラルケア先進国では、過酸化水素が含まれたホワイトニング用アイテムは認可されており、コンビニやスーパーなど身近なお店で簡単に購入できます。

オーラルケア先進国に暮らすたくさんの方が、過酸化水素入りのオーラルケアアイテムを使用している状況で、今のところ危険性は指摘されていないため、”人体に悪影響は及ぼさない”と定義してもいいと思われます。

過酸化水素や過酸化水素が含まれたホワイトニング薬剤が使えない方

しかし先ほど、「ある特定の方を除けば…」とも述べました。

ここが1番注意してもらいたいポイントなのですが、ごくまれにホワイトニング剤に含まれる過酸化水素を分解する酵素を持たない、あるいは著しく不足している「無カタラーゼ症」の方がいらっしゃいます。

過酸化水素を分解できない無カタラーゼ症の方が、過酸化水素を体内に入れてしまうと、殺菌・漂白作用を緩和することができず、口から体内に入った場合、消化器官に悪影響を及ぼす可能性が十分考えられます。

そのため無カタラーゼ症の方は、過酸化水素および過酸化尿素が含まれる薬剤を使ったホワイトニングを行うことができないのです。

ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素の濃度

オフィスホワイトニングで使われる薬剤には、最大約35%の過酸化水素が含まれています。

消毒や漂白に使われるオキシドール（水溶液）の過酸化水素濃度は約3%なので、それと比べると、ホワイトニング剤の漂白作用がかなり強いことがわかります。

ただし、ホワイトニングでは歯の状態に合わせて薬剤の濃度を調整します。例えば、約30%の薬剤を使用し、刺激が強すぎる場合は約20%に下げるといった対応を行います。

そのため、必要以上に強い薬剤が使われることはなく、歯や歯茎への負担を抑えながらホワイトニングを行えます。

ホワイトニング剤で歯が白くなるのはフリーラジカルが発生するおかげ

少し専門的な話になりますが、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素が歯を白くするのは、「フリーラジカル」と呼ばれる現象です。

過酸化水素は、体内で「酸素」と「水」に分解されるときにフリーラジカルを発生させます。このフリーラジカルが、歯の表面の着色汚れ（有機質）を分解して無色化することで、歯が透明感のある白さに見えるようになります。

ホワイトニングが初めての方の中には、「歯を削って白くするの？」「白い薬を塗って色をつけるの？」と思う方もいますが、実際はそうではありません。ホワイトニングは、科学的な反応によって歯を白くする方法なのです。

まとめ

ここまで、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素の働きや安全性についてお伝えしました。

過酸化水素は、普段のオーラルケア用品には含まれていない成分のため、不安に思う方もいるかもしれません。ですが、事前の検査（カウンセリング）で「無カタラーゼ症」などの問題がない限り、人体に悪影響を及ぼすものではありません。

また、ホワイトニング剤の成分について不安がある場合は、事前のカウンセリングで歯科医や歯科衛生士に気軽に相談しましょう。

しっかり確認して納得できれば、安心してホワイトニングを始められます。

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