こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
コロナウイルスの影響による巣ごもり生活から、食事、小旅行やイベント参加など、徐々に元の生活に戻りつつあります。そのためでしょうか、久々に人と会うことになって自分のニオイ、特に口臭を気にする方もおられるのではないでしょうか?
今回は、その口臭の原因の1つ、銀歯からニオイがすることについて見ていきます。
目次
1、被せ物(銀歯)・詰め物からのニオイの原因とは
銀歯は、以前虫歯の治療を受け、最終的に歯の形を取り戻すために被せた金属です。小さな詰め物はインレー、全体を覆う被せ物はアンレー、クラウンなどと呼びます。
最近では金属価格の高騰のあおりを受け、また金属アレルギーなどの懸念から、レジンやセラミックなど金属以外の素材を使うようになってきています。
1)被せ物の表面の汚れ
銀歯は歯科技工士がオーダーメードで1つ1つ作成したものですが、溝が深かったり、表面にザラつきがあったりします。そのため、まず目につくのは、歯の表面に付着した食べかすです。これが歯垢、プラークとなります。
プラークとは、食べかすを栄養源にしてお口の中の細菌が増殖したものです。これがまずニオイの原因となります。歯の表側の歯磨きはもちろんのこと、歯と歯の間に溜まった汚れは歯ブラシだけでは除去しきれませんので、デンタルフロス、液体歯みがきなども併用するようにしましょう。
また金属の表面のザラつき、深い溝などは装着した後になると研磨できる限界があります。部位によっては、この際に表面のザラつきに無いセラミック、ジルコニアにやりかえることも1案です。金属では不可能な白く綺麗な歯にすることもできるようになります。
2)銀歯と歯との間に段差やスキマができて食べかすが付着している
詰め物や被せ物と歯との境い目は、段差になる場合があります。これは温かい食べ物、冷たい飲み物などの温度変化により、歯も金属も膨張と収縮をしますが、その割合(膨張率・収縮率)が異なるため、銀歯を入れて時間が経つと、両者の間に段差やすき間が出来てきます。これらは汚れが溜まりやすい場所となります。
もし歯磨きをしていて歯ブラシがひっかかる、デンタルフロスが切れやすい場所があれば、その部分を歯科医師にチェックしてもらいましょう。
段差であれば、表面を研磨することで滑らかな状態にすることもありますし、すき間になっていた場合は新たな被せ物に交換することもあります。
3)被せ物の下に新たな虫歯ができている
「虫歯は人類最大の感染症」と言われています。虫歯をしっかり除去したといっても、相手は細菌ですので、目で見ただけではわかりません。
虫歯の原因菌が残っている可能性も否定できません。かといって、過剰に歯を削ることも大いに問題です。できるだけ歯は残したいものです。
このような理由から、金属の被せ物の下に新たに虫歯ができる、ということも珍しくありません。また、被せ物、詰め物を装着して長期間たつと、削れて銀歯に穴が開くこともあります。この穴から虫歯ができることもあります。
レントゲンを撮影しても、金属と重なっている時はわからない場合もあり、一度金属を除去して確認したり、清掃しやすくすることもありますので、歯科医師に相談してみてください。
4)レジン、銀歯の下の接着剤(セメント)などのニオイ
新たに被せ物、詰め物をした直後に多いのですが、虫歯を除去して白い詰め物で埋める場合や白い被せ物はレジンという化学素材を使います。
また歯と金属とを歯科専用の特殊な接着剤(セメント)で接着させます。虫歯を除去した後、痛みが新たに出ないかどうか確認するために一度セメントで埋めて様子を見ることもあります。
これらをお口の中に入れた直後は、薬剤特有のニオイがします。
2、自宅でできる対策にはどのようなものがあるか
ご自宅では、歯磨きについて見直してみましょう。口臭は起床時が最も強いのではないでしょうか。
起床時、朝食後と昼食後、そして就寝前にできれば、かなり食べかすを減らし、口臭も減らすことができるでしょう。また1回あたりの時間もみなさんのお口の状態に合わせて、時間をかけてゆっくり歯磨きをしましょう。
歯ブラシだけ使っている方は、歯と歯の間はデンタルフロスも使うようにし、マウスウォッシュ、デンタルリンスを使うことも有効です。
歯間ブラシについては、歯肉を痛めることもありますので、オススメのサイズと使いかたについては歯科医師、歯科衛生士に確認しておきましょう。
3、歯科医院でできる他の対策とは
先ほど述べたそれぞれの対策の他には、歯科医院では定期的なチェックを兼ねて、クリーニングを受けることをお勧めします。
虫歯の早期発見、早期治療はもちろん、皆さんそれぞれの汚れのつきやすい場所などすみずみまでチェックをしてもらい、おすすめの歯ブラシについて、毛の硬さやヘッドの大きさといった相談だけでなく、自宅での歯磨きの方法や注意すべきポイントなどを確認しておきましょう。
これにより、日々のご自宅でのケアもより効果的なものになります。