こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
今回は、皆さんが知っているようで知らない、『なぜ寝る前に歯を磨くことが効果的なのか』についてお話させていただきます。
目次
1、理想は毎食後の歯磨きです
歯科医院での定期的なメンテナンス受けた後、毎日の歯磨きを欠かさないことです。
美味しく食事を食べた後、歯磨きによって食べかすを除去し、歯垢(プラーク)が歯に残らないようにケアするという習慣は、歯と歯ぐきの健康を維持する上でとても重要です。この時、歯磨き粉に含まれる殺菌成分だけでなく、歯ブラシで磨くという物理的な除去が大切です。
そのためにも歯ブラシ選びもこだわりましょう。歯ブラシも毛の材質や硬さ、ヘッドの大きさなど様々なラインナップが発売されています。奥歯はヘッドの小さいものにする、歯周病の場所にはやわらかい毛の歯ブラシを使うといった、部位や症状による使い分けも必要でしょう。
歯周ポケットに入り込んだ食べかすやプラークを効率良く除去するには、細かい振動でサポートしてくれる電動ハブラシを併用するのも良いでしょう。ただし、勢いに任せてしまい、歯ぐきを傷つけないようにしないといけません。
2、寝ている間に起きていること
(1) 寝ている間のお口の中では、唾液の分泌が減ります。
唾液を作るところは大きな唾液腺が3種類あります。耳の前にある耳下腺、あごの下にある顎下腺、舌の下にある舌下腺という3種類(計6つ)の唾液腺が唾液を分泌しますが、寝ている間は唾液が減ります。
また、アレルギー性鼻炎などで、普段から鼻閉があるような方では、睡眠中に鼻からの呼吸ができなくなるため、口を開けて呼吸(口呼吸)をするようになります。これもお口の中が乾く大きな原因の1つです。
さらに、内服薬の副作用としてお口の渇きが現れる場合があります。薬を中止することはなかなか難しいので、こまめに水分を取るなどしてお口の中を潤すことが必要です。
睡眠は長時間であるため、その間に細菌が増殖しやすく、これにみがき残しの歯垢(プラーク)が多いとプラークを栄養源として細菌が繁殖しやすい状況となります。細菌が繁殖することで、歯周病のリスクが非常に高まります。
これらのことから、特に寝る前にプラークを残さないことが重要といえます。
(2) 歯ぎしり、食いしばりをしている。
寝ている間は無意識な状態です。この時に歯ぎしりをしたり、歯を食いしばっていることがよくあります。このメカニズムは、まだよくわかっていません。この時の歯にかかる力は、起きている間に比べてとても強いもので、歯にとっては支える周囲組織(歯槽骨や歯肉)に炎症を引き起こす危険性があります。これにプラーク中の細菌類が加わると、歯周病が進行していきます。
3、歯磨きする時間の間隔について
歯磨きは、お口の中の雑菌を減らすために自宅・職場でできる最も効果的な方法の1つです。虫歯、歯肉炎、歯周病を予防するためには、この歯磨きと歯磨きのタイミングをいかに短くするかについてスケジュールを考える必要があります。
毎食後に歯磨きをする方の場合で歯磨きの間隔を考えてみます。朝食後から昼食後、昼食後から夕食後、夕食後から朝食後(もしくは起床時)の間で比較すると、夕食後から朝食後(もしくは起床時)の間が一番長い時間になっていると思います。
この状況でもし寝る前の歯磨きを追加した場合、寝る前から起床時の間は昼食後から夕食後の間にほぼ近くなるのではないでしょうか?そうすると、雑菌が増えるための時間が短くなるため、寝る前の歯磨きを追加する前よりも雑菌が少ない状態を維持することができます。
4、寝る前だけでも歯磨きを
いつもは忙しくて1日3回も歯磨きができない、という方もおられるかと思います。日中の起きている間は食事の間に飲み物を飲んだりすることで、お口の中の雑菌が多少は流されて減ります。
しかし、寝ている間は水分の摂取もなく、なおかつお口の中の唾液も減ることから、雑菌が一番増えやすい危険な時間帯です。そこで、夕食後から起床時までのこの長い時間の間に、寝る前の歯磨きだけでも追加することができれば、歯磨きと歯磨きの間隔が短くなることから、虫歯や歯周病のリスクが減らせます。また、お仕事で多忙な毎日を送られる方においても、寝る前でしたらまだ時間が確保できるのではないでしょうか?
毎食後と寝る前の4回の歯磨きが理想ではありますが、日々忙しい方も、寝る前だけでも歯磨きを習慣づけるよう、生活サイクルを見直してはいかがでしょうか?それだけでも歯周病、虫歯などのリスクを減らせることになります。