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放置していた虫歯が原因で歯が折れた場合

投稿日:2020年10月9日 更新日:

放置していた虫歯が原因で歯が折れた場合

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

虫歯で歯が折れてしまうことがあります。小さく欠けることもあれば、歯の根にかかるところまでおれることもあります。

歯科医院に行くのが怖くて、そのまま放置している方もかなりおられると思います。しかし、それを放置することは歯やお口の健康に悪影響をおよぼします。

虫歯を放置した場合にどのような問題がおきるのか、またどのような治療方法があるのか、歯が折れた部分の大きさで分けて見ていきます。

1、放置するとどうなるか

前歯は会話する時や食事する時において相手からよく見える部位です。「人は見た目が9割」というベストセラーがありましたが、前歯が虫歯で欠けた場合は口もとの見た目が悪くなり、ひいては相手の印象が悪くなります。

奥歯はものをすりつぶしたり、しっかり噛むところで、くいしばったり、力を発揮する場合にはとても重要な部位です。この奥歯の虫歯が欠けた場合、しっかり噛むところがなくなります。その結果、食べ物をすりつぶすことができなくなり、くいしばることもできなくなるため、満足に力が出せないという状況になります。

歯も傾いたり、移動したりするため、噛み合わせも乱れてきます。その状況が長く続くと、あごの関節に過大な負荷がかかることになり、耳の前で「カクッカクッ」や「ジャリジャリ」といった音がしたり、痛みが出るという顎関節症という病気を発症することもあります。

前歯、奥歯に共通する事項としては、歯ぐきの近くで歯が欠けた場合、食べカスがプラークとなって付着します。歯の中や周囲に細菌が入り込んで留まり、口臭の原因となります。また虫歯はどんどん進行し、周囲の歯ぐきも赤く腫れて炎症を起こします。ひいては歯を支える歯槽骨が溶けて歯周病の状態になったり、膿を持つようになることもあります。ここまでくると、残った歯を保存することは困難です。

2、どのような治療になるか

1) 歯冠の一部が少し折れた場合

歯の折れた部分が小さい場合、コンポジットレジンという特殊なプラスチックで形を復元することが可能です。よく使われる基本色にあたるレジンと、歯の白さ・黄色さ、透明感などといった歯の美しさを表現するための様々な色調のレジンがあり、重ね塗りをすることで、元の歯の色調を復元します。

基本色のレジンは保険診療で可能ですが、審美性を求める場合は、特別なレジンを用いて、かつ時間かけて形態の修復作業を行いますので、自由診療で行う歯科医院があります。

また、虫歯が歯のおもて面だけに広範囲にわたる場合は、歯の表面を一層削って「ラミネートベニア」という見た目が良く特殊なセラミックで覆ってしまう治療法もあります。

2) 歯冠の一部が折れたが、神経が出ていない(露髄)していない場合

1)よりももう少し折れてはいますが、一番中心にある神経まで到達していないような虫歯の場合、露髄しないようにうまく虫歯を除去できれば、歯冠全体を覆うような被せ物の治療になります。前歯であれば土台を金属、表側をレジンもしくはセラミック、といくつか選択肢があります。

レジンはどうしても単調な人工的な色あいになってしまうことや、カレー・ワインといった色のある飲食物によってよごれが付きやすいです。また土台の金属によって、歯そのものの「透明感」が出せないことからも、審美性には限界があります。

セラミックを使った被せ物は見た目が天然歯に近いことから前歯部にお勧めです。一方、奥歯では噛んだり磨り潰す強大な力がかかりますので、金属で覆うだけの被せ物が多いですが、やはり他人から見える時に気になるため、歯に近い白い素材を求める声があがっています。そのため最近では人工ダイアモンドの素材であるジルコニアが使われることが増えてきました。

3) 歯冠のほとんどが折れた場合

この場合、ほぼ露髄していることに間違いありません。露髄した場合、虫歯の原因菌など多数の細菌類が歯髄に入ります。歯髄の神経は抵抗力が弱いので、結果的に歯髄にある神経を取り、殺菌して最終的な薬で詰める(根管充填)という治療をしないといけません。

このプロセスは回数かかる場合があります。特に歯根が曲がっている場合などは、根の先端までアプローチしにくいため、どうしても時間と回数がかかります

根管充填をした後は、土台を立てる作業をします。金属の土台(メタルコア)の他、適度なしなやかさのあるグラスファイバーを用いた「ファイバーコア」もあります。このしなやかさは、歯根がコアで折れる、割れるリスクを減らします。

4) 歯根まで折れた場合

歯根の部分まで折れてしまい、メタルコアもしくはファイバーコアをたてることができないくらい歯が残っていない、歯の強度が保てない場合は、抜歯を念頭にした治療方針となります。抜いた両隣の歯があればブリッジも可能なことがありますし、難しい場合は入れ歯(義歯)を考えます。

最近では骨の幅や高さが十分にあり、歯ぐきの状況が健康的で引き締まっている場合は、インプラントの治療も選択肢に入ってきます。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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