こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
虫歯の治療中で最も大切なことは、「勝手に治療を中断しないこと、最後の被せ物、ブリッジまで終わらせること」です。
確かに虫歯の治療はとても回数がかかる場合があり、予約時間の都合をつけることが難しい場合や、痛みや歯科器具のキーンという音が怖くてちょっと、などいろいろ理由があるかもしれません。
しかし、治療を最後まで終わらせることで、その歯の寿命を維持することができます。また残っている歯への負担も軽減することになりますので、勝手に治療を中断しないことは重要です。
具体的に各治療ステップにおいて中断してはいけない理由にふれてみます。
目次
1、応急処置の状態で放置しない
虫歯が原因で痛みがあって歯科医院に行き、とりあえず痛みとるための応急処置を受け、抗菌薬や痛み止めなどを処方され、神経(歯髄)の空間を開けたり、その中にある神経を取るなど、とりあえずの処置を受けると、痛みがスッと取れることが多いです。
そうなると、それまでの苦痛から急に解放され、これで終わったと思ってしまうのでしょう、仕事が忙しいとか、なかなか時間が取れない、という理由により、その後の治療に来なくなる患者さんがおられます。
しかもかなり時間がたって、歯がボロボロになった状態で再度来院され、その状態から「なんとかしてほしい」という方もおられます。
虫歯の治療も他の病気と同じく早期発見、早期治療が重要です。自己判断で安易に中断せず、治療は最後まで終わらせるようにしてください。
2、治療を勝手に中断しない
治療のそれぞれのステップで治療を中断すると、歯の寿命が急激に短くなります。それぞれの治療ステップにおける注意事項にふれてみます。
1)神経を取る治療の途中で中断しない。薬を入れたままで中断しない
神経を取る治療の際、神経の空間を殺菌・消毒する薬や、神経をゆっくり溶かす専用の薬などを入れて数日時間をおくことがあります。
この治療は少しずつしかできないこともあるため、数回の通院が必要です。見た目には治療が全く進んでいるように見えないので、通院のモチベーションを保ち続けるはとても大変ですが、薬を入れたままにしておくと、取りきれていない細菌らによって虫歯が歯の内部で進行したり、根の尖端から外に出て、根の周囲に炎症を引き起こすこともあります。
2)神経を取ったままで中断しない
神経を取った後の歯の内部は血流が無くなります。そのため、白血球などによる免疫機構が働きません。つまり細菌類に対する抵抗性がとても弱い状況にあります。この状況で放置されると、虫歯が進行したり、根の内部がどんどん汚れてきたりします。
神経を取ったら、神経の空間を専用の薬剤(ガッタパーチャ)で埋めるところまではしっかり行いましょう。
3)仮歯のままで中断しない
仮歯は文字通り仮のものです。削った歯をその位置で維持することで、その後の被せ物がスムーズに入るようにするためのものです。
また、前歯の仮歯には、応急的に見た目を戻すことも兼ねています。この仮歯はレジンというプラスチックですので、耐久性はあまり期待できません。仮歯があまりにも綺麗で・・・とそこで満足してしまい、ついつい次の治療を延ばし延ばしにする方がおられます。
しかし次に最終的な被せ物を入れる段階の場合で長期間放置しますと、微妙な誤差が出て来る可能性があります。髪の毛一本噛んでもわかるくらいの精度が要求されますので、最終的な被せ物は予定通りのスケジュールで入れるようにしましょう。
4)途中で歯科医院を勝手に変えない
これは治療の中断とも関連してくるのですが、神経の治療の途中で歯科医院を変える(転院する)患者さんがおられます。仕事や学業の関係で引越をしなければならないなど、どうしても通院できなくなる事情もあろうかと思います。
その場合、現在治療中の歯科医院で転院を希望する旨を伝え、それまでの治療の経過をまとめた紹介状を作成してもらいましょう。そして次の新しい歯科医院にその紹介状を持参することで、スムーズに治療の継続を受けることができます。
ただ、この手続きをせず、勝手に歯科医院を変える患者さんもおられます。またその間は治療が中断したままになっていることも見られます。
3、硬いものを食べない
虫歯で歯が弱くなっていますので、硬いものなどを食べると、さらに歯がかけることがあります。
深いところで欠けると、歯を時間をかけて引っ張り出す「挺出(エクストルージョン)」という処置が必要になったり、最悪もう使えないと判断し、抜歯せざるをえない場合もあります。
治療中の歯では、あまり硬いものを食べないように注意してくださいね。