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カルシウム不足が原因で歯は悪くなる?

投稿日:2020年9月18日 更新日:

カルシウム不足が原因で歯は悪くなる?

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

今回は、カルシウム不足が原因で歯は悪くなるのか?ということについてお話していきたいと思います。

1、現代人はカルシウムが不足している

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」というものを策定し、公表しています。その中には、性別・年齢別に必要な栄養素の「推定平均必要量」や「推奨量」などがあります。これを基準に、日々の栄養素が足りているのか、もしくは不足しているか、という判断をしています。

過去の報告では、カルシウムの摂取量についてはほとんどの年代も・性別でも推定平均必要量に達していません。カルシウムが不足しているとずっと言われており、その不足分は牛乳200ml分程度もあると言われています。

体内のカルシウムが不足すると、骨や歯だけでなく、筋肉や神経、血圧など様々なものに悪影響を与えます。健康的な肉体・精神のためにも、牛乳を飲むなど日々の食事にもカルシウムを積極的に取り入れる必要があります。

カルシウム不足がどの年代にも見られるのは、カルシウムの不足がなかなか自覚症状として現れないためです。体の中でカルシウムの一番の貯蔵庫は骨です。血中のカルシウムは常にモニタリングされていて、不足していると骨を少し溶かしたりして血中濃度を維持します。

そのため、中々カルシウム不足を自覚することがありません。骨が細くもろくなり、骨折をよく起こすようになって初めて気づくかたがとても多く、病院で骨密度などを計測して骨粗鬆症という診断がついた、という方も多いです。

2、カルシウム不足が歯そのものに影響するか

歯は外からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)の3層構造からなります。この中で、一番カルシウムが多いのは象牙質です。エナメル質表面に初期う蝕(虫歯)ができると、唾液の中に含まれるカルシウムもしくは歯磨き粉に含まれるフッ素によって再石灰化されます。これは歯が完成してからの話で、完成した後はカルシウム不足で歯がもろくなる、虫歯ができやすくなるということはありません。

ただし、歯を作ろうとする時期にカルシウム不足が深刻な場合には、歯が弱くなる、もろくなる、虫歯になりやすくなる、などが見られる可能性は十分考えられます。

特に妊娠中は母だけでなく生まれてくるお子さんもカルシウムを必要としています。この重要な時期にカルシウム不足にできるだけならないよう、食生活の見直しやサプリメントの購入などを考えましょう。

3、カルシウム不足が歯を支える周囲組織に影響する

歯そのものの影響はすでに述べました。次に気をつけていただきたいのは、歯を支える周囲の組織についてです。カルシウム不足は歯そのものへの影響はそうありませんが、それよりもこの周囲組織への影響が大きいのです。

歯の周囲組織に起きる炎症をまとめて歯周病と呼びますが、その発症要因としては、プラークの磨き残し、咬み合わせのバランスの悪さ(歯ぎしり、食いしばり、歯の欠損)、喫煙や飲酒、そして糖尿病といった生活習慣、骨粗鬆症、メタボリックシンドローム、閉経による女性ホルモンの減少、そしてカルシウムやビタミン類などの栄養素の摂取不足などが挙げられています。

これらを背景にして、歯周病原因菌が引き起こす炎症が歯周病です。この場合、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていきますが、この原因に対する治療だけでなく、歯科医師による治療(歯周病治療、再生療法)を受けないと、失った骨の再生は難しいことがほとんどです。

歯周病の原因菌が歯周病を介して全身の血液の流れに入り、全身を駆け巡ると、様々な疾患を引き起こすことが言われています。特に脳血管疾患や心疾患など、生命の危機を引き起こすような疾患も多数わかっています。

歯を失うことは、ただ食べられないだけではありません。歯は会話や見た目など、人間としての社会生活を送る上でとても重要です。歯が無くなった部分については、両隣の歯とブリッジでつなげるか、入れ歯、インプラントなどによって何らかの歯を補ってあげる必要があります。これらの歯科治療のみならず、その原因に対する治療の1つとして、カルシウム不足に対する治療も必要となるでしょう。

4、吸収の良いカルシウムとは

吸収の良いカルシウムとして、水溶性カルシウム(グルコン酸乳酸カルシウム、乳酸カルシウムなど)は牛乳と比べてよく吸収されると言われています。吸収率で見ると、食品では乳製品が一番高くて50%、小魚・海藻30%、野菜や豆腐が20%程度です。これらを食べる時にはビタミンDと一緒に摂取するとより多く吸収されます。納豆やほうれん草、ブロッコリーなどです。

また、マグネシウムも一緒に摂取する必要があります。マグネシウムは骨を形成する骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウム量を調節する作用があります。アーモンド、サツマイモ、ひじきなどがあります。

5、カルシウムだけを摂取しないで

カルシウムが不足と聞くと、それを多く含む食べ物を手にする方も多いかと思います。しかし、カルシウムをうまく取り込んで体内で有効活用するには、その他の微量元素が必要です。特にマグネシウムが重要です。

カルシウムとマグネシウムは相互に関連しているため、バランスが崩れると骨粗しょう症をはじめ、動脈硬化や虚血性心疾患などに影響してきます。しかも最近はマグネシウムも不足していると言われています。最近はカルシウムのみならずマグネシウムも含む飲料やサプリメントも多数販売されていますので、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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