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コーラを飲むと歯が溶けるのは本当なのか

投稿日:2020年8月7日 更新日:

コーラを飲むと歯が溶けるのは本当なのか

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

子供の頃から「コーラを飲むと歯や骨が溶けるから」などと母親から都市伝説のように聞かされ方や、お口の中の歯がボロボロの人を見て「コーラの飲み過ぎでそうなったのかも」と思った方もおられるかと思います。

コーラをはじめ炭酸飲料を飲まれる方はたくさんおられるかと思いますが、コーラで歯が溶けることについて、実際のところはどうなのか?ということについてお話させていただきます。

1、コーラに含まれるものについて

レシピを掲載しているウェブサイトを見てみると、コーラのレシピが多数掲載されています。主なものはレモン、砂糖 500g、炭酸水 500ccをベースにしてシナモン、バニラビーンズ、クローブ、カルダモンなどの香料で香り付けをしたものです。それぞれ美味しそうなレシピになっています。

有名なコカコーラやペプシコーラのレシピは一般に公開されていません。ボトルに記載されている栄養成分表示を見ると、100ml当たりのエネルギーが45kcal、たんぱく質・脂質・食塩相当量が0g、炭水化物が11.3gなどと記載されています。

つまり、コーラをはじめ炭酸飲料について、炭酸の他は糖分と水分がほとんど、ということがおわかりうただけるかと思います。

2、コーラの酸について

コーラにはシュワシュワとした炭酸や、糖分、そして酸味料などが含まれています。これらのためにpH(ペーハー)が2.5あたりになっています。pHとは、その液体が酸性寄りかアルカリ性寄りか、その度合いを数値で示すものです。数値が1に近いほど酸性度が高く、14に近いほどアルカリ性が強いというものです。

一般的に、歯が溶け始めるのはこのpHが5.5以下になった時です。コーラのpHが2.5であることは、とても酸性度が強いことを表しています。コーラで歯が溶けるという話は、この酸性の強さによるイメージから想像されているかもしれません。

歯や骨を酸性の液体につけると、その中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどが溶け出してきます。ただ、これが目に見える反応として現れるには、長い時間をかけて酸性の液体に漬け込んだ時における話であって、飲みものであるコーラが人間の骨に直接ふれたり、歯に長い時間くっついていることはそうありません。

コーラを飲む時間はとても短い時間と言えますので、含まれる酸がどれだけ歯に影響するのか、と考えると、その影響はとても少ないと言えます。

3、コーラで歯が溶けるのか

では、コーラで歯が溶けることはありえるのか、という疑問が出て来ます。注目すべきはコーラの中に含まれるもう一つの物質である糖分です。

糖分が長い時間お口の中に残ることで虫歯が発生します。何度もコーラを飲むことで虫歯が進行し、歯が溶けたようになっていきます。つまり、コーラの酸で歯が溶けるのではなく、虫歯の原因菌の出す酸によって歯が溶けていくのです。

4、唾液の存在は大きい

お口の中は唾液で常に潤っています。唾液は耳の前、頰に後ろ側にある耳下腺、あごの下で喉仏のすぐ上にある顎下腺、舌の下側にある舌下腺という3つの大きな唾液腺で唾液の大半が作られます。一方、上下のくちびるの表面や頰粘膜の表面には、直径1−2mm程度の小唾液腺という組織が無数にあり、微量の唾液を分泌して粘膜表面の潤いを与えています。

これらが作る唾液は、様々な重要な役割を担っています。まず唾液の流れそのものが食べかすなどを洗い流します。また唾液にはIgAという免疫物質も含まれており、呼吸などでお口の中に入ってくる雑菌などをやっつける働きがあります。また唾液の中にはカルシウムが微量に含まれており、ごく初期の虫歯に対しては、このカルシウムによって歯質を再石灰化させるという作用もあります。

お口の中が酸性もしくはアルカリ性の状態になった場合、その程度を和らげてなるべく中性にもっていくという「緩衝能」という能力があります。このおかげで、虫歯の原因菌などの活動によって酸が作られ、お口の中全体が酸性に傾いた場合でも、唾液によって酸が薄まり、かつ中和することにより、できるだけ酸性の状況を中性の方向へ改善させる、という効果があります。

5、コーラの影響をできるだけ少なくするためには

コーラで歯が溶けることをできるだけ少なくする方法は、コーラの飲む量を制限することも一つですが、コーラのみならず、糖分の多いドリンクを飲んだら、糖分をお口の中に残さないことがポイントになります。そのためには、まずダラダラと長い時間をかけて飲むことを避けましょう。できるだけまとまった時間で飲むようにしましょう。

次に、飲みおわったら、すぐに歯を磨くようにしましょう。しかし外出中などではすぐに歯磨きができない場合もあるかと思います。その場合は水ですすぐだけでも構いませんし、ブラックコーヒーやり緑茶やウーロン茶、無糖の紅茶を飲むことも、糖分を洗い流すことになります。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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