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歯の治療後、噛むと違和感…すぐに歯医者に行くべき?長引く痛みの原因と対処法

こんにちは。医療法人社団わははグループの南森町スマイリー歯科の総院長を務める吉村 佳博です。
歯の痛みに悩んで歯科医院を受診し、無事に痛みが取れる治療を受けたはずなのに、なぜかその後も痛みが続く、あるいは新しい違和感が出てくる…。
そんな経験、ありませんか?「治療中は麻酔してたから痛みはなかったけど、まさかこんなに痛みが続くとは」と、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
また、詰め物が入って治療が終わったはずなのに、噛むと痛みを感じて再度来院される方もおられます。
今回は、このような歯の治療後に感じる違和感や痛みの背景にあるメカニズムと、その対処法について、さらに詳しく掘り下げてお話ししたいと思います。
このブログを読んで、少しでも皆さんの不安が解消され、安心して治療後の生活を送れるようになれば幸いです。
こちらの記事もあわせてお読みください。
・放置していたむし歯が原因で歯が折れた場合
・歯が欠けた場合の正しい応急処置!欠けた歯の水洗いはやってはいけない!?
目次
歯の治療後に違和感や痛みを感じる主な原因と、そのメカニズム
歯の治療後に感じる痛みや違和感には、さまざまな原因が考えられます。
多くの場合、一時的なものですが、中には注意が必要なケースもあります。それぞれの原因について、もう少し詳しく見ていきましょう。
1. 麻酔の影響と、その後の感覚の戻り
痛みが出そうな処置の際には、歯科治療における患者さんの苦痛を和らげるために、局所麻酔を施します。
麻酔が効いている間は、治療中の痛みを感じることはほとんどありません。
通常、治療後2〜3時間ほどで麻酔は切れ、徐々に歯やその周囲の感覚が戻ってきます。
感覚が戻ると同時に、それまで麻酔で抑えられていた治療による刺激や炎症の反応が顕在化し、痛みや違和感として感じられることがあります。
これは、いわば体が治療を受けたことによる「治癒のプロセス」の一環として起こる自然な反応であると考えられます。
痛みがひどい時は痛み止めを飲みましょう
このような麻酔切れに伴う痛みに対しては、歯科医院で処方された痛み止めを服用するのが最も効果的です。
もし処方されていなければ、市販の解熱鎮痛薬でも対処できます。
服用から薬が効き始めるまでには1時間程度かかることがあり、また次に服用できるまでの間隔も薬によって異なりますので、必ず添付文書を確認し、指示された用法・用量を守って服用してください。
無理に痛みを我慢し続ける必要はありません。
2. 神経治療(根管治療)後の感覚過敏
むし歯が深く進行し、歯の神経(歯髄)まで到達してしまった場合、「神経治療」、専門的には根管治療と呼ばれる処置が必要になります。
これは、感染した歯髄を除去し、根管内を徹底的に殺菌・清掃する非常にデリケートな治療です。
この治療の過程では、たとえ麻酔下で行われていても、様々な刺激が歯やその周囲の組織に加わります。
例えば、根管内の汚染物質を除去する際の機械的刺激、殺菌のために使用する薬液、そして根の先端にあるごく細い神経が完全に除去しきれていない場合などが考えられます。
これらの刺激によって、治療中の歯の神経が敏感になり、普段なら痛みを感じない程度の刺激(例えば、わずかな噛み合わせの変化や冷たい空気など)にも過敏に反応して痛みを感じることがあります。
また、根管治療では、根管内に殺菌作用のある薬を充填し、時間をかけて炎症を抑えていきます。この薬がじわじわと効き始める過程で、一時的に炎症反応が強まり、痛みを伴うこともあります。しかし、これは薬が効果を発揮している証拠であり、通常は時間が経つにつれて痛みが軽減していくことがほとんどです。
根管治療は、歯を残すための非常に重要な治療ですが、その特性上、治療後に多少の不快感や痛みを伴うことは珍しくありません。
数日間、痛みが続くこともありますが、徐々に落ち着いてくることが一般的です。
3. 詰め物や被せ物の噛み合わせの問題
むし歯を削った後に、その部分を補うために詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)を装着します。
この詰め物や被せ物が、治療後に「噛み合わせが高い」と感じることが、違和感や痛みの原因となることがあります。
人間の口の中は非常にデリケートで、髪の毛1本挟んだだけでもその存在を感じ取れるほど、噛み合わせに対する感覚は非常に鋭敏です。
わずかな高さの違いでも、不快感や痛みに繋がることがあります。
なぜ噛み合わせが高く感じることがあるのでしょうか?
一つには、歯科治療は患者さんが診療台に横になった姿勢で行われることが挙げられます。
実際に日常生活で食事をする際などは、座った状態や立った状態であり、この姿勢の変化によって噛み合わせの位置が微妙に変わることがあります。
治療中に最適な噛み合わせに調整しても、起き上がった際にわずかなズレが生じることがあるのです。
もう一つは、素材の熱膨張と収縮です。
私たちは日々、温かいものから冷たいものまで、様々な温度の飲食物を口にします。詰め物や被せ物の素材も、これらの温度変化によってわずかに膨張・収縮を繰り返しています。
治療直後はぴったり合っていても、使用するうちに微細な変化が生じ、噛み合わせに影響を与える可能性もゼロではありません。
歯科医師は、詰め物や被せ物を装着する際、噛み合わせのチェックを何度も行い、細心の注意を払って調整します。
しかし、それでもわずかな高さを感じてしまうことはあります。
多くの場合、数日~1週間程度でその高さに慣れていくか、歯がその噛み合わせに合わせて微調整されるため、違和感は解消されていきます。
ただし、あまりにも噛み合わせが高い状態が続くと、特定の歯に過度な負担がかかり、歯周組織への影響や、場合によっては詰め物や被せ物の破損、さらには顎関節症のリスクを高める可能性もあります。
4. 歯列矯正治療による歯の移動
歯列矯正治療を受けている方、特に矯正を開始したばかりの方や、装置の調整(ワイヤー交換など)を行った直後には、歯に痛みが生じることがよくあります。
これは、歯を正しい位置に移動させるために、歯に持続的な力が加わるためです。
歯は、骨の中に埋まっているように見えますが、実際には歯根膜という薄い膜によって骨とつながっています。
矯正装置が歯に力を加えると、この歯根膜に炎症が生じ、それが痛みとして感じられるのです。
歯が動いていくにつれて、また矯正装置を装着している感覚に慣れていくにつれて、痛みは徐々に和らいでいきます。
また、矯正装置自体が頬や舌、唇などの軟組織に当たって、口内炎や傷ができて痛みが生じることもあります。
この場合は、矯正用のワックスを貼ったり、早めに歯科医院で装置を調整してもらう必要があります。
痛みや違和感があったらどうすればいい?緊急性と対処法
歯の治療後に痛みや違和感を感じた場合、まずは慌てずに、冷静に対処することが大切です。
1. 患部を冷やす
最も手軽にできる対処法の一つが、痛みのある部分を冷やすことです。
痛みを感じる神経と冷たさを感じる神経は、脳に情報を伝える経路の一部が似ているため、冷たさという強い刺激によって痛みの感覚を一時的に紛らわせる効果が期待できます。
冷やす際は、氷を直接口に含むのではなく、冷たいタオルや冷湿布などを頬の上から当てるようにしてください。
冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって治癒を妨げる可能性もあるため、適度な時間(10分~15分程度)で中断し、様子を見るようにしましょう。
2. 痛み止めを服用する
歯科医院で治療後に痛み止めが処方されている場合は、その指示に従って服用してください。
もし手元にない場合でも、市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)で対処できることが多いです。
痛み止めは、服用してから効果が発揮されるまでに30分〜1時間程度の時間がかかります。
また、次に服用できるまでの間隔(通常は4〜6時間)や、1日に服用できる上限量など、薬によって定められた用法・用量がありますので、必ず添付文書をよく読み、正しく服用するようにしてください。
痛みを我慢しすぎて過剰に服用したり、服用間隔を守らないのは危険です。
週末や夜間など、歯科医院が開いていない時間帯に急な痛みが出た場合は、まずこれらの応急処置を試してみてください。
3. 様子を見る期間と、受診の目安
多くの場合、治療後の痛みや違和感は、1〜2日程度で自然に引いていくことがほとんどです。
麻酔の影響や治療による一時的な炎症であれば、体の回復とともに症状は改善していきます。
そのため、まずは痛み止めを服用したり、患部を冷やしたりしながら、この期間は様子を見てみることが推奨されます。
しかし、以下のような場合は、すぐに治療を受けた歯科医院に相談するか、再度受診を検討する必要があります。
・痛みが全く引かない、またはどんどんひどくなる場合
・痛みが数日経っても改善しない場合(特に3日以上続く場合)
・痛み止めを飲んでも効果がない場合
・噛み合わせの違和感が強く、食事ができないほどの場合
・ズキズキとした強い痛みや、拍動するような痛みがある場合
・歯茎が腫れてきたり、膿が出てきたりする場合
・熱を伴う場合
これらの症状は、詰め物や被せ物の噛み合わせの問題、歯の神経が炎症を起こしている、あるいは根の先に感染があるなど、何らかのトラブルが発生している可能性を示唆しています。
自己判断せずに、必ず歯科医師の診察を受けましょう。
まとめ:不安を感じたら、まずは歯科医院へ相談を
歯の治療後に感じる痛みや違和感は、珍しいことではありません。
多くの場合、治療による一時的な反応であり、時間とともに改善していきます。
麻酔の影響、神経治療後の回復過程、そして詰め物や被せ物の微妙な噛み合わせの調整期間など、さまざまな要因が絡み合って生じるものです。
まずは、上記でご紹介したような応急処置を試しながら、1〜2日程度は様子を見てみましょう。
しかし、痛みが長引く場合や、痛みが悪化する場合、あるいは日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は、迷わず治療を受けた歯科医院に連絡し、相談してください。
歯科医師は、皆さんの口の中の状態を最もよく理解しています。
痛みや違和感の正確な原因を特定し、適切な処置を行うことで、安心して快適な状態を取り戻すことができます。
ご自身の歯の健康に関して少しでも不安なことがあれば、決して一人で抱え込まず、いつでもお気軽に歯科医院にご相談ください。
皆様の健やかな生活をサポートできるよう、私も含め歯科医院のスタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。
梅田・西天満・南森町で歯医者をお探しならスマイリー歯科にお任せください。
記事の監修
著者
吉村 佳博
医療法人わははグループの理事長であり総院長。家族3世代で通える地域に根差した歯医者を目指し、一般診療から審美・美容まで幅広く診療する総合歯科を運営。グループ総スタッフ人数80人、法人全体の年間来院数は約50,000人。 歯科医院大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院、令和6年7月には「あべのグリーン歯科」、令和6年10月には「すみのえグリーン歯科」を開院。