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歯ぐきが下がる原因と対策:下がった歯肉は元に戻せる?
こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長の吉村 佳博です。
お口のトラブルの中でも特にご相談が多いのが「歯ぐきが下がる」こと(歯肉退縮)です。今回は、その主な原因と、現状でできる対策・治療法について詳しく解説します。
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目次
1. なぜ歯ぐきは下がってしまうのか?主な6つの原因
歯ぐきが下がる原因は一つではありません。複数の要因が関わっているケースが多く見られます。
(1) 歯周病の進行と咬み合わせの負担
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊され、それに伴って歯ぐきも下がります。
また、歯ぎしりや食いしばり、乱れた歯並びなどにより特定の歯に強い力がかかり続けることも、歯ぐきが下がる大きな原因となります。
(2) 間違ったブラッシングによる損傷
歯磨きを頑張りすぎるあまり、強い力でゴシゴシと磨くことで、歯ぐきを物理的に傷つけてしまい、歯肉退縮を引き起こします。
汚れを落とすには、力ではなく「歯ブラシの当て方」が重要です。
(3) 詰め物・被せ物の不適合
過去に治療した詰め物や被せ物の形がいびつだったり、劣化して隙間ができたりすると、その部分に汚れが溜まりやすく、歯ぐきに炎症を起こして下がることがあります。
(4) 歯の根元の病気(根尖病巣)
虫歯が進行して歯の神経まで達し、さらに根の先端に膿の袋(根尖病巣)ができると、その炎症によって歯ぐきが腫れたり、下がったりします。
(5) ホルモンバランスや内服薬の影響
妊娠・出産・閉経など、女性のホルモンバランスの変化によって一時的に歯肉炎が起こることがあります。
また、一部の内服薬(ニフェジピンなど)の副作用で歯ぐきが腫れ、薬の変更などで腫れが引いた後に、結果的に歯ぐきが下がったように見えるケースもあります。

2. 下がった歯ぐきを「元通り」に戻すのは難しい現実
一度下がってしまった歯ぐきを、完全に元の状態に復元することは現状では非常に難しいです。
歯磨き粉には、下がった歯ぐきを回復させる能力はありません。
それよりも、今以上に歯ぐきが下がらないように予防・対策することが何よりも重要です。
3. 下がった歯ぐきを改善・見た目を修復する3つの方法
下がった歯ぐきに対する修復や、見た目を改善するための治療法はいくつかあります。
(1) 遊離歯肉移植術(FGG)
上あごの口蓋(こうがい)から粘膜を採取し、歯ぐきが下がった部分に移植・縫合する方法です。歯ぐきが垂直方向に下がった症例など、適用できるケースが限られます。
(2) コンポジットレジンによる修復
歯ぐきが下がり、歯と歯の間にできた三角状の隙間(ブラックトライアングル)に、歯科用の樹脂(コンポジットレジン)を詰めて埋める方法です。歯の立ち上がりをきれいに見せることが目的で、高度な技術が必要です。
(3) ヒアルロン酸注入
下がってボリュームが失われた歯ぐきにヒアルロン酸を注入し、ハリを持たせてボリュームを回復させる方法です。
ただし、ヒアルロン酸は時間とともに吸収されるため、効果を維持するには半年から1年ごとの再注入が必要です。
下がった歯ぐきは、放置するとさらに進行する可能性があります。原因を特定し、ご自身のブラッシングを見直したり、歯科医院で適切な治療を受けることが大切です。
ご自身の歯ぐきの状態や適切なブラッシング方法について、一度ご相談されてはいかがでしょうか。
記事の監修
著者
吉村 佳博
医療法人わははグループの理事長であり総院長。家族3世代で通える地域に根差した歯医者を目指し、一般診療から審美・美容まで幅広く診療する総合歯科を運営。グループ総スタッフ人数100人、法人全体の年間来院数は約50,000人。 歯科医院大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院、令和6年7月には「あべのグリーン歯科」、令和6年10月には「すみのえグリーン歯科」を開院。