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唾液とコロナの関係について

投稿日:2020年8月21日 更新日:

唾液とコロナの関係について

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

今回は、唾液とコロナの関係についてお話しさせていただきます。

1)新型コロナの症状

2019年12月に中国・武漢から発生した新型コロナ(COVID-19)は、現代において前例のないパンデミックを引き起こしています。新しいコロナウイルスによって世界中の保健当局が対応に苦慮し、日本でも第二波が来た、などのコメントが出るくらい猛威をふるい、「新しい生活様式(New Normal)」など生活も劇的に変化しています。

直接手などで接触することによる伝染、唾液による小滴・エアロゾルの形での伝染により、世界的に急速な広がりを見せています。

その主な症状には、咳、発熱、息切れ、筋肉痛、咽頭痛、胸の痛み、頭痛、鼻漏、下痢、悪心・嘔吐などが報告されています。咳やくしゃみ、飛沫吸入などの直接感染と、コンタクトレンズなどで眼球に触れたり、唾液、鼻粘膜、目などからの感染により、ヒトからヒトへ感染するといわれています。

みなさんも日々マスクをつけて飛沫対策をし、こまめな手洗いをして、外食を減らしたり、連休もステイホームで過ごすなど、気をつけておられるかと思います。その中で、今回はまず唾液に着目してみます。

唾液には、新型コロナウイルスをはじめ、多くの種類のウイルスを取り込むため,唾液を介したウイルスの感染機会,特に呼吸器感染症を引き起こすようなウイルスの感染については、歯科医院をはじめ、医療機関では避けられない問題です。

歯科医院での唾液による院内感染、クラスター発生を予防することは、歯科医療関係者と患者さん双方の安全のためにはとても重要な問題です。

2)唾液はとても重要な役割をしています

唾液は、食べ物の消化、お口の粘膜を潤すこと、口腔内の清掃、外部からのウイルスや病原菌の殺菌など、重要な役割を果たしています。通常の成人は毎日約600mlもの唾液を分泌しています。

今までに、700以上の微生物が唾液で検出されています。その多くは、口腔および全身疾患と関係があるとされています。

一方、唾液は、洗い流すことで病原体が増えることを防いでいます。つまり、唾液はゲートキーパーとしての役割を果たし、ウイルスや病原体などが消化管や呼吸器に広がるのを防ぐことができます。

唾液には殺菌作用のある物質が多数見つかっています。リゾチーム、ムチン、カテリシジン(LL-37)、ラクトフェリン、ペルオキシダーゼ、IgAなど、抗ウイルスの特徴を持つ様々なタンパク質が存在します。
このうちのいくつかには、ウイルスの複製、特に新型コロナウイルスの増殖を阻害する可能性があると言われています。

3)唾液はどこまで飛ぶのか

会話や咳、くしゃみ、あるいは呼吸をする際に唾液は飛びます。

唾液の飛沫の量や飛んでいく距離には個人差がありますが、平均して1回の咳、もしくは5分間のおしゃべりで約3,000個、くしゃみ1回で40000個の唾液の飛沫が発生しています。

大きな飛沫は、重さがあるため、あまり遠くまで飛びません。しかしどんどん小さくなると、エアロゾルとして空気中に漂う危険性があります。これら唾液の飛沫が口や目に入るか、または肺に直接吸い込まれることで感染します。

4)唾液が減っている方について

年齢のために唾液を作る唾液腺が萎縮している場合は唾液が減るのでお口が乾きます。

また高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などで内服治療を受けられている方は、内服しているお薬の添付文書にある副作用の欄を見てみると、程度は様々ですが、「口腔乾燥」「口渇」があります。つまり、唾液分泌量が低下することがどうしてもあります。

唾液の分泌量が低下することは、物理的バリアとしての口腔粘膜や気道粘膜表面が破壊されて、新型コロナウイルスが付着しやすい環境になります。つまり、こまめなうがいが新型コロナ対策として重要になってきます。

口腔乾燥への対応としては、こまめな水分摂取、市販の粘膜保湿剤(オーラルバランスなど)を使うことになります。マスクを使うようになり、熱中症などになる危険性が上がっていますので、大丈夫、と思わずにしっかりと水分摂取を心がけてください。

5)皆さんができるコロナ対策

① ステイホームしつつ禁煙を目指そう

加熱、非加熱にかかわらず、タバコには400種類を超える多くの有害物質は、お口の粘膜を損傷します。血管収縮作用や、発がん性、口腔乾燥など様々です。

当然、コロナウイルスが付着・定着しやすい環境になります。コロナ感染予防の点からも、そして呼吸器疾患、肺がん、口腔がんなどのリスクを減らすためにも、このコロナをきっかけに徐々に本数を減らしていくことを目指していきましょう。

②食事時はよく噛んで唾液をしっかり出そう

食事の時は唾液が分泌されます。この唾液をしっかりと分泌させる秘けつは、しっかり時間をかけて回数多く噛むことです。よく噛んで、しっかり唾液を出してコロナウイルスを流してしまいましょう。

6)歯科医院は万全のコロナ対策をしています。

歯科医院では、色々な器材や患者さんが触れるところのこまめな消毒、診療室や待合室の定期的な換気を行なっています。また診療中は口腔外バキュームなどを使ってエアロゾルを回収しています。

歯科医師や歯科衛生士など医療従事者は、マスクと手袋を着用するだけでなく、目を保護するアイウェアやフェイスシールドを着用しています。安心してメンテナンスを受けてください。

参考文献

Gaunkar R B, Nagarsekar A, Carvalho K M, et al. (June 25, 2020) COVID-19 in Smokeless Tobacco Habitués: Increased Susceptibility and Transmission. Cureus 12(6): e8824.

Maryam Baghizadeh Fini. Oral saliva and COVID-19. Oral Oncology 108 (2020) 104821

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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