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口腔ケアを行うことで新型コロナウィルスにかかる影響は?

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口腔ケアとコロナ

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

今回は、口腔ケアとコロナについてお話していきたいと思います。

1)うがいは新型コロナウイルス感染予防に効果があるのか

ドラッグストアの店頭に行くと、うがい薬やマウスウォッシュが多数並んでいます。中でもイソジンのうがいが一時話題になりました。

イソジンは殺菌消毒に使われるものですが、それでも傷を治そうと働く細胞にも悪影響を与えることが言われていますし、主成分であるヨードに対するアレルギーや、甲状腺の病気をお持ちの方には、あまり好ましいものではありません。

新型コロナウイルス感染予防としては、クロルヘキシジン(CHX)のよるうがいを勧める報告があります。また日本の水道水には塩素分が含まれていますので、真水でうがいをすることでも十分意味はあると思います。

新型コロナウイルス感染の予防策としてマスコミで言われていますが、帰宅したらすぐにうがいと手洗いを必ず行いましょう。

2)新型コロナウイルス感染予防には口腔ケアが重要です

ここ数年の間に、口腔の健康が全身の健康に大きな影響を与えることが明らかになってきました。いくつかの研究では、お口の中の感染症に反応して、サイトカインという化学物質や微生物からの化学物質が血液中に放出されて全身にめぐり、胃腸に炎症を引き起こし、アルツハイマー病、糖尿病、動脈硬化性心疾患、脳血管疾患などの全身疾患の発症を促進することがあきらかになっています。

またお口全体の健康状態が悪いと、糖尿病、慢性腎臓病、肝臓障害などの全身疾患を悪化させることが明らかになっています。逆に、肥満はお口の病気、特に歯肉炎や歯周病になりやすくさせることもわかっています。

さらに、お口の中はクラミジア肺炎といった呼吸器系疾患を引きおこす病原体の大きな貯蔵庫でもあります。歯周病患者は合併症として肺炎を発症する可能性が高いため。

お口の中の衛生状態を改善させることは、お口の中の細菌類やウイルス類の量を減少させるため、呼吸器合併症のリスクを減少させる可能性があります。

また、口腔衛生の改善と専門的な口腔ケアを頻繁に受けることで、特に高齢者や集中治療室にいる方たちにおいては、肺炎などの呼吸器疾患の進行や発生が減少することが明らかになっています。

この糖尿病、慢性腎臓病、肝臓障害などの全身疾患を持つ方々は、新型コロナウイルス感染症に関連した疾患を発症し、悪化するリスクが最も高い集団でもあります。

以上のことから、どの年齢層においても、口腔内の健康状態を改善し、口腔以外の全身疾患を発症するリスクを減らすことで、新型コロナウイルス感染症の患者数を下げることができるかもしれません。

3)歯周ポケットは細菌・ウイルスの溜まり場です

歯周ポケットは、歯周病の進行にともなって形成される、歯と歯肉との間にできるポケットです。細菌・ウイルスの溜まり場です。

食べかすやプラークが滞留して栄養源になり、唾液で適度な水分があり、温度が体温でほぼ一定に管理されていますので、細菌類やウイルス類にとっては繁殖しやすい良好な環境です。

今までの報告では、単純ヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトサイトメガロウイルスなどがよく見られることがあきらかになっています。そして、細菌の報告では、新型コロナウイルスも、この歯肉、歯肉ポケット内の液体とプラークから、PCR検査で検出されています。

新型コロナウイルスに再感染する症例がありますが、この歯周ポケットなどに残留しているウイルスが再感染を起こしているのかもしれません。

歯周病の治療では、普段の歯磨きに加え、この歯周ポケット内を機械的にしっかりキレイにする処置から始め、ポケットを切除して除去する外科処置もよく行われています。

4)お口のセルフチェックとセルフケア

「お口のセフルチェック」でウェブを検索しますと、多くのサイトがセフルチェックシートを公表しています。その1例として、一般財団法人口腔保健協会は、ホームページで「お口のセルフチェック」を公表しています(https://jfohp.or.jp/okuchikenko_navi/selfcheck/index.html)。

朝起きた時に、お口の中が乾燥してネバネバするか、口臭があるか、歯の根元がしみるか、モノが挟まりやすいか、歯磨きで出血があるか、硬いものが痛くて噛めないか、などです。これらをはい/いいえで答えていきます。歯周病の初期段階かどうかがわかります。

あわせて、「健口習慣、いくつ実行していますか」というのも掲載しています。歯と歯肉の境目をみがくようにしているか、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを使っているか、1年に1回以上、かかりつけの歯科で歯石をとってもらっているか、などです。多いほど、お口を健康に保つことができます。
これらセルフチェックシートをうまく使って、自分のお口の中をチェックしましょう。

5)歯科医院でプロフェッショナルな口腔メンテナンスを

歯科医院では保険診療として歯石除去をしていますが、使える器材などの面でどうしても制約があります。

最近では、より多くの器材や歯磨き粉を使い、丁寧に時間をかけ、効果のあるメンテナンスを自由診療で提供する歯科医院が増えてきました。実は、虫歯などの病気にかかって治療を受けるより、予防に重点を置いた方が、結果的に治療に通院する日数も短く、治療費も安く、痛い思いもしなくて済みます。

世界のトップリーダーたちはこの予防の重要性を理解しており、3か月おきなど定期的なメンテナンスを受けています。この記事を読まれている方もぜひ、予防に着目してメンテナンスを受けていただきたいと思います。

参考文献

・Botros N, et al. Is there an association between oral health and severity of COVID-19 complications? Biomed J. 2020 May 29:S2319-4170(20)30081-0.

・Viviana Pitones-Rubio, et al. Is periodontal disease a risk factor for severe COVID-19 illness? Med Hypotheses. 2020 Jun 19;144:109969.

・T Zahi Badran, et al. Periodontal pockets: A potential reservoir for SARS-CoV-2? Medical Hypotheses 143 (2020) 109907.

・お口のセルフチェック
https://jfohp.or.jp/okuchikenko_navi/selfcheck/index.html

・プレジデント社 プレジデント 2020.5.15号

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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