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インプラントのメリットとデメリット

投稿日:2020年6月19日 更新日:

1、インプラントについて

歯が抜けたところ、歯が無い部分の治療法として、ブリッジと入れ歯につぐ3つ目の選択肢として、インプラントの治療がかなり普及してきました。

少ない骨でも埋入できるインプラントや、骨を造る技術などが発展し、最近は難易度の高いインプラント治療も成功率が上がっています。

インプラント治療のゴールは、インプラントを入れることではなく、「インプラントをいかに長期的に持たせるか」にあります。

炎症のない歯肉の状態を維持し、周囲の歯も含めて噛める状態を長く持たせることにあります。

そのため天然歯よりもメンテナンスがより重要になっていると言えます。

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2、インプラントのメリット

インプラントは、入れ歯とブリッジのデメリットをカバーします。

まずブリッジは、支えとなる歯を削らないといけません。

虫歯も無い歯を土台にするために削るのは非常にもったいないことですし、噛む力をその支えとなる歯で受けるという力学的な点を考えると、どのような症例でも使えるわけではなく、限界があります。

また入れ歯では、ピンクの土台の部分と、支える歯にかかる金属のバネ、補強する金属の棒などがお口の中に入りますので、その重さ、そして違和感が出てきます。舌の動かせる空間も狭くなります。

インプラントは、これらの欠点がありません。

歯が無い部分だけの治療で済み、金属のバネ、補強する金属の棒などもありませんので、元の歯並びをほぼ再現することが可能です。

3、インプラントのデメリット

(1)メンテナンスが重要

最近ではメンテナンスのためのさまざまな器具も開発され、その扱いに精通した歯科医師、歯科衛生士も増えてきました。

インプラントのメンテナンスで重要なことはインプラントの周囲の歯肉を綺麗に保つこと、インプラントとその周囲(両隣および噛み合う歯)の調和の維持し、インプラントそのものを維持することにあります。

インプラントの周囲の清掃については、日々の歯磨きでは磨ききれない部分がどうしても出てきます。

特にインプラントと周囲の粘膜との間には食べかすが入ることが避けられず、その部分を専用器具で清掃して綺麗にしておくことが、インプラントの周囲の炎症の予防する上とても重要です。

インプラント周囲炎は、せっかく綺麗に整えた歯肉が赤く腫れて膿を持つことで破壊されるだけでなく、インプラントを支える骨を溶かし、ひいてはインプラントを除去することにも繋がります。

インプラントの歯はとても丈夫なため、噛み合う歯が負けてしまう危険性があります。しっかり噛めるようになったがために、インプラント側でしっかり噛む癖がついてしまうことがあります。

インプラントと噛み合う歯には、天然歯どうしの時よりも負荷がかかっているため、歯周病に繋がります。

定期的な咬み合わせの癖のチェック、咬み合わせの高さの調整が必要となります。

(2) メーカーが多数あり、他院ではトラブル対応できないことがある。

インプラントの周囲の清掃、インプラントとその周囲との調和の維持については、他院でもインプラント治療をしている歯科医院であれば対応できることが多いです。

しかし、問題はインプラントそのものに問題が発生した場合です。インプラントのメーカーは国内海外合わせて多数あります。各社それぞれ特徴的な形状をしています。

インプラント周囲の溝の数や幅、表面に骨がつきやすくなるような工夫があり、さらに固定するネジの形も違います。これが、日曜大工のように他社と共通していません。

インプラントのかぶせものが緩んできたり、万一折れたりした場合で歯科医院にかかった際、同じインプラントシステムを扱っている歯科医院ならば問題なくメンテナンスを受けられます。

しかし同じメーカーを扱っていない歯科医院では、「うちでは対応できません」と断わられる可能性があります。

(3) たいていは自費診療のため、高額になる。

インプラント治療に関する費用は、以下のものが挙げられます。

まずは、大前提として、お口全体の炎症がコントロールされていることが必要です。すなわち、歯周病治療や虫歯の治療を済ませておく必要があります。これは保険診療で行うことができます。

次に、インプラントを入れる部位の検査として歯型の模型、CT、口腔内の写真などが必要です。

特にインプラントは外科処置ですので、事前の準備と余裕のある治療時間(1本あたり1-2時間)も必要です。

インプラントは骨の中に埋め込むフィクスチャーと、アバットメント、上部構造(被せ物の部分)からなります。

広告にある金額が実は一番安価なフィクスチャーだけの場合だった、という事例があります。

アバットメントも既製のものもあれば、オーダーメードで作製する場合があります。また被せ物の費用が別途かかるかどうかも確認する必要があります。

あまりにも安いインプラントは記載内容に何かが不足している、もしくは省略している項目があるかもしれませんし、治療全体の品質として、果たしてどの程度信頼できるのか、とも言えます。

骨が必要な場合は骨造成という処置が必要です。患者さんの骨を採取し、骨補填剤と混ぜて入れたり、移植するなどしてインプラント周囲に骨を造る方法です。

メーカーによっては、インプラントの保証があります。その保証金も治療費に含まれます。保証期間と保証内容を確認しておきましょう。

保証期間は何年で、どのような内容をカバーされるのか、部分的な保証となるのか、メンテナンスを受けていれば保証されるのか、など事前の書面で確認しておきましょう。

人件費では、歯科医師、助手2名の計3名が最低でも必要です。設備も手術室の設備(空調や照明)、歯科用CT、手術で用いる専用の機材(専用のドリルなど)、ディスポーザブル器材なども治療費に含まれます。

歯科医院によっては、治療時の恐怖心を和らげるため、歯科麻酔医を応援で呼び、その管理のもとで静脈内鎮静法という麻酔をしながら手術をすることがあります。この費用も加算されます。

治療後のメンテナンスの頻度や1回あたりの費用も含めて、事前に十分に確認し、書面で契約書を残しておきましょう。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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