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親知らずってどんな歯のことをいうの?
こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
今回は親知らずについてお話をしていきたいと思います。
そもそも親知らずというものは、口の一番奥に生えてくる第三大臼歯のことで、別名では「智歯」「知恵歯」とも呼ばれ、10代から20代の間に生えてくることが多いです。
上下・左右に1本ずつ生えてくる人、そのうちの何本かが生えてくる人、そして4人に1人くらいの割合で親知らずが全く生えてこない人もいます。
そして親知らずが生えてきてしまったとき、ほとんどの方が抜歯することをイメージされていますが、実は抜く必要がない症状もございます。
そちらに関しても後ほどご説明させていただければと思いますので、最後までお読みいただければ幸いです。
埋まった親知らず・斜めや横向きに生えた親知らずは病気のもと
親知らずを抜く理由の一つとして、親知らずは、トラブルを起こしやすい歯ということがあります。
特に歯が埋まっていたり、歯茎が歯に覆いかぶさっていたり、斜めや横向きに生えていたりして、うまく歯茎から親知らずが生えてきていない場合は、歯茎と歯の隙間に空洞がうまれて細菌が溜まりやすく、智歯周囲炎(ちししゅういえん)という炎症を引き起こします。
歯冠周囲粘膜(しかんしゅういねんまく)が赤く腫れ、痛みを伴います。ひどい場合は、激しい痛みや腫れで口が開かなくなり、のども痛く、物を飲み込めなくなります。
症状が慢性的なものになると、全身に症状がおよび命にかかわる危険性もあるおそろしい病気です。
抜かなくていい親知らず・抜く必要がある親知らずの7パターン
世間的には「親知らず=抜く」というイメージがあります。
一般の歯科医院では、埋まってしまっている歯をレントゲンなどで確認し、深く埋まっているような場合は、より安全で適切な治療が受けられるように、大学病院などの大きな病院へ紹介状を出させていただくこともあります。
では、親知らずは絶対に抜かなくてはいけないのでしょうか? 答えは「NO」です。
痛みの原因や炎症の程度により、抜かなくていい場合もあるのです。
では親知らずを抜かなくてもいい場合と、抜く必要がある場合を7つのパターンに分けて解説していきます。
抜かなくていい親知らず
①痛みがなく、キレイに噛み合っている歯
上下・左右の4本がまっすぐキレイに生えそろい、しっかり噛み合っている場合で、特に痛みがないのでしたら、無理に抜かないでも大丈夫なのです。
真横に向かって生えている場合でも、急いで歯を抜く必要はありませんが、先述の通りうまく生えてきていない親知らず(埋まっている、歯茎が覆いかぶさっている、斜めや横向きに生えているなど)は、まっすぐ生えている場合よりもトラブルを起こしやすい状態ではありますが、もし現段階で痛みや腫れがない場合、ひとまず抜かないでも大丈夫です。
②抗生剤・痛み止めでの治療ができる歯
患者様が歯の痛みを訴えて、歯科医院に来院された場合、そのまますぐに抜歯治療を行うというケースは実は稀です。
智歯周囲炎などの炎症を引き起こしていても、「必ず」「すぐに」親知らずを抜かないといけないわけではありません。
初期段階の智歯周囲炎は、抗生剤や痛み止めを服用することで、症状を抑えることができます。薬を飲み始めてから3日~1週間くらいで歯茎の痛みや腫れはおさまります。そのあとは、また普通に生活していても構いません。
抗生剤や痛み止めを服用するほかに、冷やしたり、うがいをしたり、普段のケアでも病状の改善には効果があります。
③大事な仕事やイベントが近い時の歯
個人の年齢や体質にもよりますが、歯を抜いてからは一般的に2、3日ほど、炎症の程度がひどかった場合は1週間~10日ほどの間、痛みや腫れは続きます。
もし大事な仕事の発表や面接、また受験や結婚式など、「ここぞ!」という日の前日に抜歯をしたせいで、うまくいかなかったら辛いですよね。特に施術後のスケジュールには気を配りましょう。
④とくに炎症がひどい時の歯
正確には、「すぐに抜くことのできない」歯です。智歯周囲炎などが重症化している場合には、結果的に抜歯をすることになります。
ですが、あまりにも腫れや痛みが大きいと麻酔が効きにくく治療の妨げになりますので、まずは抗生剤などの薬で炎症を抑えてからの施術になります。
「炎症をギリギリまで放っておいて、抜歯で一気に解決!」という訳にはいきません。ここまで放っておかないのが理想です。
抜く必要がある親知らず
①何度も炎症をくりかえす歯
薬物治療などを行い一旦症状が改善した後でも、よく親知らずの痛みは再発します。
風邪をひいてしまったり疲れがたまったりすると、体の抵抗力が弱まり、また智歯周囲炎による腫れや痛みがぶり返してしまうのです。
当院に来られる患者様からは、「年に1回くらいの頻度で痛くなる」と聞くことがあります。何度も何度も智歯周囲炎をぶり返すようだと、通院治療が大変です。
また、重症化して酷い頭痛を引き起こしたり、顎が開きにくくなったり、その他に発熱や倦怠感など、さまざまな全身の症状を併発して危険です。この場合は、抜歯治療を行う病院がほとんどです。
②虫歯になってしまった歯
親知らずは一番奥に生えているため歯ブラシが届きづらく、磨き残しが多くなってしまうことが多い傾向があります。
磨き残しが多いと当然虫歯菌が増えて、虫歯になりやすくなってしまいます。親知らずに限ったことではありませんが、虫歯になっている歯はいくら耐えられる痛みでも放っておいてはいけません。
薬で腫れや痛みを抑えるだけではなく、根本的な治療で解決しなくてはなりません。本来親知らずは必須の歯ではありませんから、抜歯してしまっても大丈夫です。
横向きに生えている、噛み合わせが悪かった、智歯周囲炎を起こしていた、など他のトラブルもある場合は、なおさら抜くことをおすすめします。
③矯正治療などを行う時に悪影響が出そうな歯
ガタガタに生えてしまった親知らずも含めて歯列矯正をしてしまうと、矯正治療中の歯が横から押されたりして、悪影響です。
ですので、あまり生え方のよくない親知らずは、矯正前に抜くことがあります。
親知らずの抜歯に関しては医師に相談
以上のどれかに当てはまる場合でも、患者様の独断で抜くか抜かないかを決めることはおすすめできません。
やはり、歯科・口腔外科の医師に相談し、適切な治療法を決めていくのが1番安心です。
すでに受診されている場合も、「楽だから早めに抜いてしまいたい」あるいは「抜くのは怖いから出来るだけ残したい」など、患者様が思われていることは様々だと思います。
治療に対しての希望や不明点があれば詳しく話してみるのがよいでしょう。
どんな場合でも、まずは信頼できる医師に相談し、痛みがあるなら我慢せずに早めに治療を受けることが大切です。
スマイリー歯科では、虫歯治療などの一般保険診療も受け付けていますのでお気軽にご相談ください。