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親知らずを抜くメリットとデメリットについて

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人間の歯は、中切歯、側切歯、犬歯(いわゆる糸切り歯)、小臼歯が2本、大臼歯が2~3本あります。このうち、親知らずとは、第3大臼歯を指します。

そして、この親知らずを抜歯するメリットとデメリットに関して、今回の記事でご紹介させていただきます。

親知らずとは

なぜ親知らずと言うのか

一生のうち、成人するころあたりに生えてくるのですが、「人生50年」と言われた昔は、生えるころにはもう親がすでに他界していることが多かったことから「親知らず」と言われています。

別の言い方で「智歯」といい、海外ではwisdom toothと言います。これは知恵のついたころ、物事の分別がわかるようになったころに生えてくる、というのがその語源です。

基本は上下左右で4本あるのですが、一生のうちにどれかが出来てこない、もしくは4本ともできないということも珍しくありません。

最近は埋もれている親擦らずも多い

また最近は、人類の進化に際して小顔傾向、つまりあごが小さくなる傾向があり、まっすぐ生えるころができず、真横になっている親知らずも多いです。

見えている歯の後ろの歯ぐきが腫れ、歯科医院でレントゲンを撮った時に見つかった、ということが多いです。これを「(水平)埋伏智歯」と言います。

親知らずも、普通にまっすぐ生えており、日々きれいに清掃できるのでしたら、抜歯をしないことが多いです。

ただ、歯磨きがしにくいことが多いので、食べかすが溜まりやすく、周囲の歯肉炎や虫歯が多いというリスクがあります。

親知らずの抜歯のメリット

歯磨きがしやすくなる

歯ブラシが入りにくい親知らずがなくなることで、一つ手前の大臼歯の裏側の清掃がしやすくなるというメリットがあります。

炎症のリスクが減る

親知らずの周囲に歯ブラシが入りにくいため、食べかすが長時間残存し、口腔内の細菌類の栄養源になるため、親知らず周囲の歯肉に炎症がおきます(智歯周囲炎と言います)。

この智歯周囲炎が起きると、すぐには親知らずを抜歯できません。まずは抗菌薬投与、洗浄、時には切開をして、炎症を抑える処置が必要です。

特に妊娠中の女性ではこの抗菌薬や鎮痛剤の投与ができないため、妊娠前に抜歯することでこのリスクが減らせます。

口臭の原因が減らせる

食べかすが溜まりやすいことから口臭が発生しますが、親知らずを抜くことで奥歯の清掃がしやすくなり、口臭の原因がそれだけ減らせることになります。

親知らずの抜歯のデメリット

怖い

親知らずを抜くことのみならず、歯科治療そのものが痛かったり、きついもの、というイメージされる方が多いかと思います。大人でも怖いものだと思います。

このように、歯科治療が恐怖な方には、親知らず4本を4回に分けて抜歯することもあれば、まずは上あごの親知らず、次に下あごの親知らず、そして反対側の上下の親知らず、という3回で分けたりすることがあります。

また、点滴で行う静脈麻酔という方法を用いて抜歯する方法や、全身麻酔で4本とも抜いてしまうということもよくあります。気になる方は一度かかりつけの歯科医院で相談してみてください。

抜いた周囲が腫れる

外科処置は基本、ある程度術後に腫れたり、痛みが出たりします。これは、体が傷を治そうとする反応ですので、元に戻ります。カイロなどで温めたりすると傷口から出血しやすくなり、また氷枕などで冷やすと、治りに時間がかかります。よって、そのままにしておくことが一番治りが早いです。

上あごの親知らずはあまり腫れないことが多いのですが、下あごの親知らずを抜歯する時に歯ぐきをめくったり、親知らずの周囲の骨を削った場合、また年齢が若いほど腫れが強く出る傾向にあります。

このことから、旅行に行く、人と会う、会議などでプレゼンするなどの場合は、その用事の後に抜歯を計画しましょう。また接客がメインの方はできるだけ抜歯後に休日をとるよう勤務調整をするといいでしょう。

2週間ほど噛みにくい

これも下あごで強く出るのですが、親知らずを抜いてからしばらくは、抜いたのとは反対側で食べ物を噛むような生活になります。食べ物も最初は柔らかいものが中心になり、徐々に形あるものに変わっていきますが、抜いた側で食べれるようになるまでに2週間はかかります。

あご先、下唇の知覚鈍麻

下の親知らずの近くには、下あごの中を貫く神経が走っています。その神経はそれぞれの歯に枝を出して、虫歯が痛い、冷たいものがしみる、噛み応えなどの感覚を担当しており、さらにはあご先と下唇の感覚まで担当しています。

この神経の大元が親知らずととても近接していることがよくあります。その抜歯をする際にその神経を圧迫したりすることで、あご先や下唇の触った感じがにぶくなることがあります。

正座をした後に足がしびれた経験があるかと思いますが、ピリピリ・ジンジンしてくると回復のサインです。この感覚が出てこない場合は、感覚が回復しにくい可能性があります。

まとめ

以上が親知らずを抜歯するメリットとデメリットになります。

やはり親知らずの周囲の歯肉炎や虫歯の増加のことを考えると抜歯をしておくことが一番いい処置だと言えます。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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