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親知らずが引き起こすトラブルとは

投稿日:2021年1月25日 更新日:

oyashirazu

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

成人あたりの年齢になってくると、いわゆる親知らずが生えてくる方、もしくはそのあたりに違和感、痛みなどを感じる方が出てきます。親知らずがあることで、どのようなトラブルが起きるのか、その内容を見ていきます。

1、親知らずとは

親知らずは、正式には第三大臼歯、もしくは智歯と言います。いわゆる「奥歯」を大臼歯と言いますが、前歯の方から数えて3本目を指します。古い時代に親が亡くなる頃に生えてくるため、親が知ることのない歯、という語源があります。

普通の歯並びのように綺麗に生え揃う方もおられれば、少しだけ見えている方、レントゲンで見ても全くない方もおられます。

近年は親知らずが傾斜していたり、真横を向いている方が増えてきました。この原因には、最近はあごの骨格が小さくなる傾向にあり、親知らずが綺麗に生えるだけのスペースが無いため、という説があります。

2、まっすぐ生えて、メンテナンスができている親知らずは抜歯しません

以前は、親知らず=抜歯、というイメージを持たれる方が多くおられました。しかし、最近は定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける方が増えてきたこともあり、上下しっかり噛み合っている親知らずは抜歯せずにしっかり使う、という流れになっています。

近年は平均寿命が長くなり、80歳で歯を20本残そうという8020運動などのおかげで、歯が多く残っている高齢者が増えてきました。

しかし、大臼歯は噛み合う歯の中でかなり強い力がかかるため、経年劣化で歯で割れたり、歯周病になって失うことがあります。もし親知らずがあれば、ブリッジなどで噛み合わせを回復できる可能性が高くなります。

これらのような理由から、残せる親知らずは抜歯しません。

3、親知らずによるトラブル

(1) 口臭

親知らずの周囲は歯ブラシが届きにくいです。特に歯の後ろ側はまずしっかり歯磨きができないと思います。そのため、食べかすが多く・長く滞留し、それが原因となって口臭が発生します。
 

(2) 虫歯

親知らずの周囲が歯磨きしにくいことで、その食べかすを栄養源として虫歯の原因菌が繁殖し、活発に活動します。

その結果、親知らずはもちろん、その前の歯などにも虫歯を作ることがあります。削って埋めるだけの虫歯であっても、親知らずが治療の妨げになることもあったりしますので、親知らずの抜歯をしてから手前の歯の虫歯治療、ということもよくあります。

(3) 歯肉炎

これも虫歯と同じです。親知らずの周囲が歯磨きしにくいことで、その食べかすを栄養源として歯周病の原因菌が繁殖し、親知らずとその周囲の歯に炎症を起こします。

その初期段階が歯肉炎です。磨き残しをなくすことも1つですが、抜歯をすることで歯磨きしやすくすることも治療の選択肢の1つです。

(4) 歯並びの悪化

親知らずは、永久歯の中で一番最後に生えてきます。しかもまっすぐ生える場合もありますが、少し斜めになっていたり、真横の方向にだったりします。

この場合に、親知らずが生えようとする時に手前の歯を押すことになり、歯並びが乱れてくることがよくあります。

(5) 膿瘍

歯肉炎や歯周病がさらに悪化した場合、膿が溜まることがよくあります。基本的な治療は切開して膿を出して洗浄すること、抗生剤を内服もしくは点滴で投与すること、そして栄養をとって安静のすることです。

親知らずの周囲は、筋肉と筋肉の間にすき間があります。重力に従って頸部を落ちて行くことが多く、のど(咽頭)の周囲、食道や気管の周囲(縦隔)、そして心臓の周囲(心嚢)へと広がることもあります。頸部まで広がる場合は、気道閉塞による呼吸困難に注意が必要となり、一時的に気管切開をすることもあります。また縦隔や心嚢まで広がると、命の危険さえます。

一方、痛みによって寝ている時間が長いと、この膿瘍は側頭部(耳の上、目の外側)に広がります。この場合も側頭部を切開して膿を出す必要があります。それぞれ全身麻酔下での緊急手術が必要となります。

最近は新型コロナウイルス感染が怖いとのことで、病院受診が遅れる症例が増えているように思います。しかし膿瘍は緊急処置が必要ですので、痛みや晴れがひどい場合はすぐに歯科医院、病院の歯科口腔外科で相談しましょう。

(6) 骨髄炎

親知らずの周囲の歯肉炎や歯周病が歯の周囲の骨に広がることがあります。特に下あごの骨は長管骨といい、骨髄(海綿骨)の周囲をパイプのような硬い骨(皮質骨)で覆われています。言い換えれば、炎症が外に逃げることができず、骨髄の中を広がって行くことになります。

また、最近では骨粗鬆症の治療薬でビスフォスフォネート製剤、骨吸収抑制薬など、いくつかの薬の副作用で骨髄炎が見られることがあります。

主な効能はとてもすばらしく、必要なお薬ですので、これらの薬をやめるのではなく、お口の中を定期的にメンテナンスで綺麗に保つことをお勧めします。

(7) 上顎洞炎(ちくのう)

上あごの親知らずのすぐ上方には、上顎洞という空洞があります。ここに膿がたまると、上顎洞炎、ちくのうと言います。

  • 記事の監修

吉村 佳博

「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」院長。一般診療から審美・美容まで幅広く歯に関して取り組んでいる。大阪歯科大学を卒業し、大学院では博士課程を修了。JR大阪鉄道病院に就職の後、平成7年6月に「よしむらファミリー歯科」を開院。平成18年5月には「スマイリー歯科」を開院した。

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