こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
今回は、毎日できるだけやっておきたい歯に対するメンテナンスについてみていきたいと思います。
目次
1、基本はご自宅でのメンテナンス、それに歯科医院での定期メンテナンスを
歯に対するメンテナンスには、自分で毎日行うセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士などの専門家が行うプロフェッショナル・ケア(専門的口腔ケア)があります。プロフェッショナル・ケアを定期的に受けたとしても、それだけで虫歯や歯周病を予防することは不可能です。やはり重要なのは、日々の自宅でのメンテナンスです。
メンテナンスの目的は、お口の中に発生する細菌のかたまり(バイオフィルム)の除去を定期的に行い、お口の健康な状態を維持したり、治った歯周病・虫歯の再発を防止することが目的です。歯周病や虫歯の菌は歯科医院でのメンテナンスで大幅に減少しますが、3−4か月程度たてば、元の状態に戻ると言われています。
これが歯科医院に3−4か月おきのメンテナンスをお勧めする根拠ですが、この「元の状態に戻る早さ」言いかえると虫歯や歯周病のなりやすさ・リスクは、患者さんごとによって違います。もっと短い間隔でのメンテナンスが必要な方もおられれば、年2−3回程度のメンテナンスでも十分管理できる方もおられます。
2、ご自宅でのメンテナンスについて
歯に対するメンテナンスには、歯を支える歯ぐきや歯槽骨はもちろんのこと、ほおや舌の粘膜のケアもカバーしておくべきです。それらを踏まえると、ご自宅でのセルフケアとして、以下の項目が挙げられます。
1)適切な歯ブラシを使って、なるべく毎食後に時間をかけて磨く。
この「適切な歯ブラシ」という意味は、個人の状況に合わせた歯ブラシを使うことをお勧めします。年齢や体格からくるお口の大きさも違います。
・奥歯の外側(ほお側)にブラシが入りますか?もっとヘッドが薄くコンパクトな歯ブラシが必要かもしれません。
・歯磨きは力を入れれば汚れが落ちる、というものではありません。力を入れすぎるとブラシのプラスチックがポキっと鳴り、力の入れすぎを教えてくれる歯ブラシもあります。
・ワイヤーとブラケットによる矯正治療中の方には、ワンタフトという毛束の少ない小さいヘッドの歯ブラシを部位によって使い分ける必要があります。
・歯肉の状態:歯周病のリスクがある人では、ブラシのかたさを「ふつう」や「やわらか」に変える必要があるかもしれません。
・握力の弱い方には、握り(グリップ)が太めの歯ブラシが使いやすいかもしれません。
このように、様々な状況に応じてブラシを使い分ける作業が必要です。ドラッグストアなどではたくさんの歯ブラシが揃えていますし、歯科医院で歯科医師、歯科衛生士に最適な歯ブラシを教えてもらうのも1つの方法です。
2)歯間ブラシやフロスなども活用して、歯垢(プラーク)をとりのぞく
通常の歯ブラシを用いての歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間の汚れを落とし、通常の歯ブラシでは磨ききれないような部分は、ワンタフトブラシを使うことも必要です。この時に、2つのポイントがあります。
・歯ブラシを当てるよりも前にデンタルフロスを通すと、効率よく歯の汚れが落とせます。先に歯ブラシを当て、それからデンタルフロスを通すと、フロスで掻き出した汚れをまたブラシで落とす作業をしないといけません。
・歯間ブラシには、サイズがいくつかあります。またブラシ部分がゴムかナイロン毛のものなどがあります。狭いスペースに大きすぎる歯間ブラシを入れると、歯ぐきを痛め、下げる危険性があります。歯ブラシ同様、歯科医院で歯科医師、歯科衛生士に最適な歯間ブラシを教えてもらいましょう。
3)入れ歯(義歯)を使用中の方は、入れ歯を外して歯磨きをしましょう。
入れ歯もブラシを使ってきれいに掃除しましょう。そして就寝中には外して消毒液など水分に入れて乾燥させないことも長く使うためには必要です。
4)歯磨き後のうがいは1回だけ
歯磨き粉の成分の中で、フッ素は歯の再石灰化を促進したり、虫歯を予防したりなど、重要な役割を担っています。このフッ素の成分をなるべく留めるため、歯磨き後のうがいは1回だけにしておきましょう。
3、ご高齢の方の「サルコペニア」への対策も
近年、ご高齢の方における筋力の低下である「サルコペニア」が問題となっています。入れ歯が合わない、痛いなどの理由で食事の量が減ったり、内容の偏りが出てくることで、栄養不足が出てきます。これがきっかけとなり、外出をしなくなるなど、運動量も減ることも合わさって、全身の筋力が低下する、さらにこれが食事の摂取をおっくうにさせる、という悪循環に陥っている高齢者の方が増加傾向にあります。
しっかりとバランスの良い食事をよく噛んでお口から摂り、適度な運動で筋力を維持すること、サルコペニアの予防につながります。一番最初のきかっけである食事・のみこみ(えん下)がスムーズにできるよう、お口のリハビリやマッサージなどを取り入れて口腔の機能を維持しましょう。自分で行えない場合は、家族や介護職の助けを借りることも必要です。