こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
「フッ素を塗ると汚れや傷がつきにくくなる?」という相談を患者さまからいただきました。
実際、フッ素コーティングと言われるように、フッ素には塗ったものの表面を覆うことで、汚れや傷をつくにくくする効果があります。
これは、歯にフッ素を塗っても同じような効果があり、虫歯になりにくくもなります。
しかし、「歯にフッ素を塗っても身体に悪い影響は出ない?」と心配になられる人もいらっしゃると思います。
今回は、そんなフッ素を歯に塗ったときのメリットやどんな人が塗った方がいいのかなど、フッ素が歯に及ぼす影響についてご説明いたします。
こちらの記事もあわせてお読みください。
・子どもの歯のフッ素コーティングを始める時期・効果・頻度を歯医者が解説
・【今日からできる】歯を強くする5つのカンタンな方法
目次
フッ素で覆われた歯は虫歯になりにくい歯になる
フッ素コーティングを行っている車には、汚れや傷が付きにくいなどのメリットがあるように、歯にもフッ素を塗布することで、以下の3点のメリットがあります。
- 歯を強く丈夫にする
- 歯の表面に汚れが付着しにくくなる
- 歯がしみるのを防ぐ
これらの3点のメリットは、歯に塗布したフッ素が歯の表面を覆うことで効果が出ます。
歯を強く丈夫にしたり、汚れが付着しにくくなるというのは、健康な歯にも十分効果がありますが、歯がしみるのを防ぐというのは、特に歯周病など歯や歯茎の病気の人に大きな効果があります。
歯周病が原因で歯茎が痩せて、歯の根元が見えてしまうと、冷たいものを飲んだり食べたりしたときなどに歯がしみることがありますが、フッ素で歯の根元を覆うことで、歯に対する刺激が抑えられ、しみるのを防げるようになります。
このように歯にいいメリットがあるフッ素ですが、いつ、どのようにして取り入れればいいのでしょうか?
歯へのフッ素の塗布は歯科医院と自宅でできる
歯をフッ素でコーティングする方法は以下の2点あります。
- 歯医者による歯へのフッ素の塗布
- 自宅などでの毎日の歯磨き
歯にとってフッ素の効果を最も発揮できるのは、歯科医院での歯へのフッ素の塗布です。
高濃度のフッ素を歯に塗布することで、全ての歯をきれいにフッ素で覆うことができます。
また、歯磨きに使用する歯磨き粉にもフッ素が配合されたものがありますので、このフッ素配合の歯磨きを使用して、毎日歯磨きを行うことも有効な方法です。
その他、食べ物からフッ素を摂取することも可能で、体内から取り入れることも有効ですが、体内のフッ素は不足することもありますので、虫歯予防ということを考えた場合には、直接歯に塗布するなどの方法がいいと思います。
このように歯にフッ素を塗布していきますが、次はいつから始めるといいのかについて書かせていただきます。
歯にフッ素を塗布するのは子供が乳歯から永久歯に生え変わったタイミングがベスト
歯へのフッ素の塗布は、大人も子供も関係なく同じように効果があります。
しかし、大人と比べて子供の方が歯は柔らかいので、フッ素を塗った方がより効果があります。
また、乳歯から生え変わった永久歯もまだ柔らかいので、一生大事にしていきたい永久歯に生え変わったタイミングでフッ素を塗布するのが一番です。
実際、歯科医院で歯のフッ素塗布を考えられている人の中には、ご自身ではなく、お子さんの歯につけてみようと考えられている人も多いのではないでしょうか。
さらに、虫歯予防という面から考えると、永久歯に生え変わるのを待つのではなく、乳歯のときからフッ素を使用することも有効です。
大人になってから歯にフッ素を塗布する場合は、歯茎が痩せてきている人に有効ですが、健康な歯の大人でももちろん虫歯予防になりますので、今までフッ素を塗ったりしたことがない人もすぐに始めることができます。
なお、歯科医院で塗布したフッ素については、毎日の食事や歯磨きなどで取れていきますので、3ヶ月に1回程度のペースで塗布すると、フッ素の効果を持続させやすく、ホワイトニングとクリーニングを行い、きれいな歯になった後でフッ素を塗布するとより効果的です。
フッ素を使用することで起こる3つのデメリット
ここまで、歯にフッ素を塗布することのメリットについて書いてきましたが、デメリットはないのか気になる人もいらっしゃると思いますので、次にデメリットに関してご説明させていただきます。
- フッ素を摂取しすぎると身体によくない
- 着色を防ぐことはできない、
- 虫歯は治らない
- 歯茎のやせは止まらない
「フッ素入りの歯磨き粉は危険」といった話などフッ素の危険性について聞いたことがある人もいらっしゃるかもしれませんが、実際にフッ素の摂取のし過ぎなどは身体によくありません。
ただし、歯医者で塗るフッ素や歯磨き粉に入っている程度の濃度では全く問題ありません。
また、着色や歯周病などによる歯茎の痩せはフッ素では防ぐことができませんので、フッ素を塗布していたとしても、別の対策が必要になります。
さらに、フッ素には治療効果はありませんので、虫歯になってしまった人はまず虫歯の治療をし、その後にフッ素を塗る方がいいかと思います。
フッ素の塗布で虫歯予防はすぐに始められる
フッ素を塗布した後の歯に対しては、特に変わったことはしなくてよく、これまで通りの毎日の歯磨きなどのケアで十分です。
また、糖分が入ってないお茶を飲むようにすることも歯にいいことですので、高濃度のフッ素は歯医者で塗布し、フッ素入り歯磨き粉で歯を磨いて、お茶を飲むようにすることが一番いいケアとなるかと思います。
フッ素の塗布や歯磨きについては、差し歯なども関係なく、思い立ったらすぐに始められる虫歯の予防方法ですので、虫歯予防や歯のしみるのが気になる方はすぐにやってみましょう。