こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
仕事や人間関係に問題が出てきてそれをストレスに感じていると「虫歯が増えてきた」という方がおられます。今回はそのストレスと虫歯にどういう関係があるのかをご紹介していきたいと思います。
ストレスがお口におよぼす影響について
年末や年度末など仕事が繁忙期になったり、逆に近年の新型コロナウウイルスの影響で仕事に深刻な影響が出た方がおられると思います。また家族・親族関係や友人関係で悩みを抱えることもあります。さらに新型コロナにより外食は時間制限もあり、ストレスを発散することさえも難しくなってきました。
何らかの体調の不調を内科で相談しても、「ストレスを減らしましょう」などとお茶を濁され、その後の対応をどうにもできないこともあるでしょう。
これら様々なストレスは、脳神経系に負荷をかけます。その負荷により、体に様々な不調ともたらしますが、お口に関するものでは、唾液が減ること、歯ぎしりや食いしばりが酷くなること、免疫力の低下などが挙げられます。
唾液には様々な役割があり、唾液はお口の中で様々な役割を担っています。舌やほおの粘膜にうるおいを与えることで動かしやすくなり、会話もスムーズにでき、食べ物を柔らかくして噛み砕き・すりつぶしやすくし、まとめることもできます。
さらに唾液が出ることで、食べかすやプラークを流してくれる物理的な効果があります。
一方で、お口は様々な細菌類が入ってきます。唾液に含まれる免疫グロブリンは細菌からの攻撃に対しいろいろな防御をしています。
その唾液が減ってしまうと、汚れやプラークは長く留まり、虫歯菌が増殖しやすい環境になるので虫歯を誘発しやすくなるのです。
ストレスで歯ぎしりを起こす
寝ている無意識の時に歯ぎしりをしている方が増えているのですが、歯ぎしりはストレスによって引き起こされることがわかっています。歯ぎしりはただギリギリと歯を左右こすり合せる動作ですが、実は普段の食事で噛む際の数倍もの力が歯に持続的にかかっています。
しかもその力は噛む方向ではなく、歯を揺さぶる方向にかかります。そのため、本来歯が耐える方向とは違う方向から力がかかることは歯に与えるダメージが非常に大きく、放置すると歯に亀裂が入り、その部分から虫歯の原因菌が内部に入り込むことで虫歯ができたり、進行した場合は歯が欠けたり、折れたりすることもあります。
この歯に強い力が横方向にかかり続けると、歯の周囲の組織にもダメージが加わることになり、歯ぐきと歯を支える骨がダメージにより吸収し、下がってしまい、その結果、歯周病を引きおこします。
歯周病で歯周ポケットができたり、歯ぐきが下がって歯の根の部分が見えてきますが、この歯根の部分はエナメル質と比べて虫歯に弱い部分です。
また歯周ポケットに覆われた部分は、食べかすと虫歯の原因菌が留まり、体温で一定に管理されているため、虫歯が進行しやすい環境にあるといえます。
ストレスで免疫力が低下する
ストレスによって体の血管を収縮させ、全身の血行を悪化させます。血液には白血球やリンパ球、補体など免疫に関わる成分が多く含まれていますので、血行が悪くなることで免疫力が落ち、虫歯の原因菌が元気になるという危険性が高まります。
ストレスをいかにマネジメントするか
一般的に、ストレスが過剰な場合は、心や体が悲鳴を上げる前に、ストレスを解消したり、和らげる必要があります。ストレスからうつなど心身的な病気になってしまうと、なかなか抜け出せないようになります。その状況が余計にストレスになり、悪循環です。かといって日常生活の中でストレスがないということは不可能です。
ストレスのマネジメントを考えてみましょう。
1日に短時間であってもリラックスできるような時間を作って自律神経のバランスを整えることを目指しましょう。
