こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
歯と歯茎の間には「歯周ポケット」と言われる隙間があり、その歯周ポケットには、食事をした際の食べカスや歯周病などの原因になる細菌が入ってしまうことがあります。
そして、歯周ポケットに詰まった食べカスや細菌が歯肉炎や歯周病の原因となり、歯や歯茎をボロボロにしてしまいます。
今回はそんな歯周病の大きな原因の1つである歯周ポケットの深さや改善方法についてご説明いたします。
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歯周ポケットが深いほど歯や歯茎の状態は悪い
歯周ポケットは1mm、3mm、5mmなどミリ単位で測ります。
本来、密着しているはずの歯と歯茎に隙間ができてしまうので、当然、歯周ポケットが深い方が、歯や歯茎にとって悪い状態と言えますが、自分に歯周ポケットがあるかどうかは、見た目にはなかなか分かりません。
また、見た目で分からなくても自分に歯周ポケットがあるのか、どの程度の深さなのか、気になることと思います。
では、自分の歯と歯茎の間の歯周ポケットを調べるにはどうすればいいのでしょうか?
歯周ポケットの深さは歯医者さんで測ってもらう
鏡などでご自分の歯や歯茎を見ても、歯周ポケットの有無や深さを知ることはできませんので、歯科医院などに行って、歯医者さんに調べてもらうことが確実です。
歯医者さんでは、プローブというメモリのついた針のような計測機器を歯と歯茎の間に入れて、歯周ポケットの深さを計測します。
歯周ポケットの深さについては、1~2mmの場合は問題ありませんが、3mm以上になると、歯周ポケットとなり、注意が必要です。
また、深さ以外にも以下のような場合には注意しないといけません。
- 歯周ポケットに歯石がついている
- 計測時に歯茎から出血する
歯周ポケットについてしまった歯石については、歯科医院での歯のクリーニングなどで取らないといけません。
また、計測時の出血ついては、歯茎が少し腫れている程度の場合が多いため、歯磨きなどのやり方を歯科医院で聞いて、実践することで改善できることが多いです。
ただ、歯石や歯茎の腫れが歯に良くないと分かっていても、歯と歯茎のケアになかなか時間を取ることができないという人もいらっしゃるかと思います。
では、もし、歯周ポケットを放置していたら、どうなってしまうのでしょうか?
歯周ポケットを放置していると口臭や歯周病が悪化して最終的には歯が抜けてしまう
歯周ポケットを放置してしまうと、歯周ポケットが進行して、以下のようなことが起こってしまいます。
- 歯周病菌など細菌の巣になってしまう
- 口臭がひどくなる
- 歯がグラグラしてくる
歯周ポケットが進行して深くなってくると、その分、食べカスや歯周病菌などの細菌が入りやすくなってしまいます。
そして、溜まったプラーク(歯垢)や歯茎から臭いが出て、口臭の原因となってしまいます。
また、歯周ポケットの深さが4mm以上になってしまうと、さらに注意が必要となり、7mmまで進行してしまうと、歯茎からの出血や歯石がついていなくても、人によっては歯がグラつきだすことがあり、非常に危険な状態となっています。
このような歯のグラつきがきっかけで、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。
ここまで歯周ポケットの深さの危険性について説明してきましたが、歯周ポケットの深さを測るためだけに歯医者さんに行くことは、なかなか難しいという人もいらっしゃるかと思いますので、定期的な歯のクリーニングのタイミングでたまに調べてもらうようにするといいでしょう。
歯周ポケットに治療方法はないため毎日のケアで徐々に改善する
歯周ポケットについてはすぐに効果が出るような治療方法はありません。
歯周ポケットが進行した歯茎に対して、補てんするという方法などはありますが、そのときは治まっても、また歯周ポケットができてしまうこともあり、完全に治るとは限りません。
そのため、毎日の丁寧なケアによる改善で徐々に良くしていく必要があります。
毎日の歯磨きなどによるプラークコントロールで、歯周ポケットができないように、深くならないようにすることが大切です。
では、歯周ポケットがすでにできてしまっている人はどのようなケアをすればいいのでしょうか?
歯周ポケットができてしまった人には、バス法という以下のような磨き方の歯磨きが有効です。
- 柔らかい歯ブラシで歯周ポケットを磨く
- 45度で歯ブラシをあてて磨く
このバス法は、磨き方が難しいため、歯医者でしっかりとした指導を受けたり、磨いてもらうことをオススメします。
また、歯周ポケットが7mm以上になったとしても、バス法などによる毎日のケアを続けることで改善はできます。
ただ、歯周ポケットが深い分、改善するまでには半年~1年など期間はかかってしまいます。
歯医者で歯周ポケットの進行具合をチェックして適切な改善と予防をする
歯周ポケットが気になる人は、歯科医院でチェックすることで、以下のことが分かります。
- 歯周ポケットの深さ、進行度
- 歯石が付き具合
- 歯茎の腫れ具合
なお、歯周ポケットは、歯の外側、内側どちらの歯茎との間にもでき、また、前歯や奥歯など関係なく、どの歯でも歯周ポケットはできる可能性があります。
人によって歯の生え方や状態が違うため、どの歯に歯周ポケットができやすいとは言いにくいですが、歯磨きの際に磨き残しが出やすいところなどは注意が必要です。
歯周ポケットは、できてしまってからでは改善に時間がかかってしまいますので、歯周ポケットができない人でも毎日のケアをしっかり行って、歯周ポケットができないようにした方がいいでしょう。
歯周ポケットのチェックだけでなく、歯医者で自分の歯で磨き残しができやすいところなどをチェックしてもらうこともできるので、歯周ポケットが気になる方は一度、歯医者にご相談ください。