すべての歯に幸せを届けるデンタル情報・歯科メディアのHA!PPY (ハッピー)です。スマイリー歯科の院長である吉村 佳博氏の監修の元、サイトを運営しております。歯に関するお悩みなども気軽にお問い合わせください。

普段の生活から気をつけたい口腔ケア ―自宅で出来るメンテナンス方法などー

投稿日:2021年5月28日 更新日:

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

最近は虫歯予防、歯周病予防、口臭予防などをうたうオーラルケア商品がドラッグストアに多数並び、有名人を使ったTV-CMもよく放映されています。世界的には予防歯科が重要視されていますが、それに比べると日本はまだまだ、といったところです。

そして高齢者が多くなり、フレイル(筋力低下)などにより摂食・嚥下機能が低下し、口腔内が不潔であると誤嚥性肺炎も増えます。一方で、日々のていねいでこまめな口腔ケアにより、全身の身体機能の維持や向上がみられたケースもあり、口腔ケアの重要性が注目されています。

今後、私たちが健康なお口・歯を維持するために、日々のホームケアをどうすべきかについてふれてみます。

1)口腔ケアが目指すもの

口腔ケアと聞くと、歯ブラシで歯を磨くこと、というイメージをお持ちの方が多いと思います。たしかにそれも重要なことではありますが、口腔ケアはそれだけには止まりません。

お口には、(1) 食べること、(2) 話すこと、(3) 呼吸すること、(4) 表情をつくること、などにおいて、とても重要な役割を担っています。

しかし、加齢による体の衰え、口腔がんなどの病気などによって、これらの機能が低下してしまうことが少なくありません。歯を失うと食べ物を噛み切ったり、すり潰すこと(そしゃく)ができません。舌などの筋肉が弱るとえん下ができません。鼻が詰まれば呼吸もできず、ほおや口まわりの筋肉が弱ると、話すことや表情が作れなくなるため、周囲の人・社会とコミュニケーションがとりづらくなります。これら全てが、皆さんが生きていく上での生活の質を向上させるポイントです。

これらお口の持つ機能をできるだけ良好な状態で維持していくために行うことが、口腔ケアなのです。そのため、口腔ケアは、むし歯や歯周病を予防といった口の中をきれいに保つことだけが目的ではなく、咀しゃく・えんげ機能を維持するという役割もあるのです。くちびる、ほお、舌などの口およびその周りの筋肉を鍛えるためのマッサージ、リハビリなども含まれます。

2)口腔ケアの重要性が高まっている

さきほど述べたポイントの他に、最近では口腔ケアにより、(5) 口臭や味覚の改善、(6) 誤嚥性肺炎の予防、(7) 心血管疾患の予防、 (8) 認知症の予防 といったことまで繋がっていることが明らかになりました。

虫歯、歯周病、食べかすなどによって、お口は独特の臭い(口臭)が発生します。味の感じ方も変化します。口腔ケアとして虫歯や歯周病を治療し、舌などの汚れを除去することで、口臭や味覚が改善します。

また、食べ物が食べかす(プラーク)がお口の中にとどまったままでいると、お口の中に様々な細菌類が繁殖してきます。お口の中は体温でほぼ一定に保たれ、唾液で適度な水分があり、食べかすを栄養源にできるので、細菌にとっては天国です。この状態で寝ていると、無意識に唾液を飲み込むことで、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

歯周病の原因菌の中には、血管に入って脳や心臓に到達すると、脳梗塞、糖尿病、心筋梗塞、アルツハイマー型認知症を引き起こすことがわかってきました。これは、通常はお口の中にいるような歯周病原因菌が、それぞれの病気の患者さんの体内(病変)から発見されたためです。これとは逆に、虫歯を治療してしっかり噛めるようにし、歯周病を治療して口腔内の細菌の種類と量を減らした場合、脳梗塞、糖尿病、心筋梗塞、アルツハイマー型認知症の発症リスクが下げることができたという研究データも出ました。

3)口腔ケアの方法について

まず、どの世代の方にも当てはまるのは、虫歯予防、歯周病予防です。食事後のうがい、歯磨き、デンタルフロスの使用などがケアの基本となりますが、高齢者の場合は義歯・口内・舌の清掃なども重要になります。

また、高齢者は加齢により抵抗力が落ち、歯周病や粘膜疾患にかかりやすいため、日ごろから粘膜のケアとして、ガーゼやティッシュ、綿花(コットン)などでやさしく拭き上げるのも効果があります。マウスウォッシュはアルコールの無いものが長期間使えます。

 次に、口まわり、舌、ほおの筋肉もしっかり使うようにします。まずはしっかり回数と時間をかけてよく噛むこと、そしてよく会話をすること、声を出して新聞や本を読むことなどを通して、これら筋力の維持を目的としてトレーニングを行いましょう。

4)歯科医院でのチェックもお忘れなく

ここまではご自宅でできるケアを中心にふれました。ただ、我流になってしまってもいけません。自分ではきれいに磨けていると思っていても、見えないために汚れが付着していたり、不十分なこともあります。ご自身の口腔ケアについて、定期的に歯科医師、歯科衛生士にチェックしてもらうこともお忘れなく。

  • B!