近年、子どもの虫歯を治療するためではなく、子どもの歯のフッ素コーティングをするために、歯医者へ通う親子連れが増えています。
欧米などのオーラルケア先進国と比較すると、予防歯科の意識が低いとされてきた日本ですが、フッ素コーティングのために歯医者へ行く親子連れが増えている事実は、その意識が少しずつ上昇傾向にあることを示しているのかもしれません。
しかしまだ、フッ素コーティングの効果について詳しく分からず、「子どもにフッ素コーティングを受けさせて大丈夫?具体的にどんな効果があるの?」と悩んでいる親御さんも多いようです。
そこで今回は、子どもがフッ素コーティングを始める時期と得られる効果、受ける頻度など、悩める親御さんが気になる情報を分かりやすくまとめました。
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子どもの歯のフッ素コーティングはいつから始められる?
子どもの歯のフッ素コーティングは、生えたばかりの乳歯にも行うことが可能です。
乳歯が生える時期には個人差が大きいものの、だいたい生後半年くらいからは、歯のフッ素コーティングを受けられるようになるでしょう。
基本的に子どもの歯は前歯から生えてきますので、「上下2本の前歯が生えたら、もうフッ素コーティングを始める」というケースも珍しくありません。
ただ、いくら早い時期からフッ素コーティングを受けることが可能であるとは言っても、もちろん実際には、歯医者が赤ちゃんの歯・歯茎の状態をチェックして、フッ素コーティングをできる段階にあるかどうか、1人1人慎重に判断しています。
「無理に早く子どもの歯のフッ素コーティングを受けさせられる」ということはないので、その点は安心してください。
「フッ素は危険だから子どもに受けさせない方がいい」と聞いたけど…?
歯のコーティングに使うフッ素は、正しくはフッ化ナトリウムなどを指す「フッ化物」のことで、歯医者が適切に使えば人体に悪影響を与える心配はありません。
もちろん、子どもにも害を与えるものではなく、オーラルケア先進国では、より当たり前のようにフッ素コーティングが行われています。
「子どもに受けさせない方がいい」という意見のソースは明確ではないですが、フッ素単体(自然界には存在しえないものですが)の特性に着目して、危ないと誤解されているのかもしれません。
子どもの歯にフッ素コーティングを行って得られる3つの効果
- まだ弱い歯の表面を強化して、虫歯の原因となる"酸"への耐性を上げる
- まだ未熟な歯の再石灰化の作用を促し、歯垢などの付着を抑える
- 虫歯菌・歯周病菌の動きを抑制し、酸が生成されにくくする
子どもの歯にフッ素コーティングを行うと、上記3つの効果が得られます。どの効果も、虫歯予防のために大変重要な役割を果たします。
ここでは"子どものために"としていますが、上に挙げた3つの効果のいずれもが、大人の歯にとっても大切な効果であることにお気づきでしょうか?
そのため、子どもだけではなく大人も、フッ素コーティングを行うことが推奨されています。
フッ素コーティングと虫歯の治療は別もの
フッ素コーティングを行うメリットとして、「虫歯が治る」と挙がっていることがあります。
確かに、初期も初期の虫歯であれば、先述した歯の再石灰化を促す効果の一環で治るケースがあるのかもしれません。
しかし、その考えがどこかで誤って広まり、"フッ素コーティング=虫歯が治る"と認識されてしまうことには、歯科医院の立場として警鐘を鳴らしたいと思っています。
痛みを伴うような段階にある虫歯は、フッ素コーティングでは治らないからです。
あくまでフッ素コーティングは、虫歯にならないように施すものであり、虫歯を治すためのものではないとの認識が広まればいいなと思っています。
子どもの歯にフッ素コーティングをする頻度
歯のフッ素コーティングの効果は、永続しません。
だいたい3ヶ月に1度、遅くとも半年に1度はフッ素コーティングを受け直すことが理想です。
効率がいいので、子どもの歯の定期検診を受けるついでに、毎回歯のフッ素コーティングを受けることを推奨します。
⇒ 子どもの歯の定期検診について詳しく知りたい方はコチラ
※「子供の歯医者通いはいつから始める?」のコラムへリンクしています。
まとめ
- 子どもの歯のフッ素コーティングは、乳歯が生えた段階で始められる
- 歯の表面を強化したり細菌の動きを抑えるなどして、虫歯予防に大きな効果がある
- 3ヶ月に1度くらいの頻度でフッ素コーティングをし直すことが理想
以上、子どもの歯のフッ素コーティングについて、まとめました。
先述したように、フッ素コーティングによるメリットは大人にとっても大きいので、ご家族みんなでフッ素コーティングを受けられることも、いい選択肢かと思います。
ただ、フッ素を塗布しているからといって、「甘い物をどんどん食べていい」あるいは「歯磨きに時間をかけなくてはいい」という考えは間違いなので、できるいい食習慣を保つ心がけや毎日のオーラルケアも、きちんと大事にしましょう。