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フッ素塗布をすることで得られる効果は?

投稿日:2022年6月30日 更新日:

こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。

歯磨剤の広告やTVのCMを見ていると「フッ素で歯を強くする」という表現をよく目にします。
フッ素入り歯磨剤は歯に良いというイメージを持っている方は多くおられると思います。

しかし実際には、フッ素が歯にどういうメリットをもたらすのか、どのようなメカニズムなのか、までの詳しくは知らない、という方もおられるでしょう。

今回は、フッ素がどのようなメカニズムで歯に作用し、どのような効果があるのかについて見ていきます。

1、フッ素とは

フッ素は天然にある元素のひとつで、地球上では広く分布しています。私たちが日ごろ摂取している食品や飲み物にも、フッ素が含まれており、なんらかの形で毎日フッ素を摂取しています。

代表的な例として緑茶には多くのフッ素が含まれていいます。その他には魚介類、海藻、穀物、野菜、果物など、生活に身近な多くの食品に含まれています。

2、フッ素の歯への効果

1)歯の表面を強化する

歯の表面にあるエナメル質は「ハイドロキシ アパタイト」という成分で覆われています。しかし、虫歯菌の作り出す酸によって、溶け出してしまいます。

そこで、フッ素が一部に置き換わった「フルオロアパタイト」という安定した構造に置き換わると、ハイドロキシアパタイトより強い歯へと変化します。

2)初期の虫歯の修復(再石灰化)

歯に白っぽい斑点がある場合、ごく初期の虫歯の場合があります。これは、歯が虫歯菌による酸によって脱灰しはじめた状態です。

まだこの時期は、フッ素で歯の再石灰化を促すことにより、エナメル質の修復が期待できます。しかし、歯に穴が開いてしまった場合はそれ以上の自然治癒は見込めませんので、歯科医院での虫歯治療を受けることになります。

3)虫歯菌を抑制する

口腔内には700種類以上の細菌がいます。寝ている間に増殖し、口臭のみならず、虫歯などを引き起こします。

歯磨きやマウスウォッシュだけ虫歯菌をすべて除去することはできません。フッ素には虫歯菌の作り出す酵素、そして細菌自体の働きを抑制し、歯に付着するのを阻害する作用があります。

3、フッ素をどのようにして使えばいいのか

フッ素をお口に使う方法としては、以下の3つが一般的に行われています。ただしフッ素を使うだけでは虫歯予防にはなりません。

これらの方法を組み合わせつつ、使用する歯ブラシの種類(ヘッドの大きさ、毛の硬さ)、歯磨きの回数・タイミング、1回あたりの時間、歯ブラシの持ち方、歯への当て方、ブラシの動かし方、なども検討して、ご家庭でのムシ歯予防に繋げていきましょう。

1)フッ素配合の歯磨き剤を使用する

多くのご家庭で一番広く行われている方法でしょう。毎日の歯磨きの際にフッ素が配合された歯磨き剤を使用する方法です。商品に含まれるフッ素は1500ppmが上限です。この数値に近い方が光濃度のフッ素が含まれている、ということになります。

歯磨き後はフッ素をお口の中に多く長く留めておくため、歯磨剤に配合されるフッ素は、磨いている間の効果だけでなく、歯を磨いた後も、お口の中の歯や粘膜に残ることで、フッ素が少しずつ唾液にまざり、虫歯抑制効果を発揮します。

そのため、フッ素配合の歯磨剤でむし歯をより効果的に予防するためには、長い時間フッ素が口の中にとどまっていることが大切で、すすぎは1程度にとどめることがコツです。

フッ化物配合歯磨剤による虫歯予防効果は15~30%(長期間継続使用した場合にはおよそ50%といわれています。

2)フッ素塗布

高濃度のフッ素を歯に直接塗布する方法です。乳歯や生えたばかりの永久歯はフッ素にあまり触れておらず、虫歯菌に対しては弱い状態です。歯ブラシが届きにくく、むし歯のなりやすいところに効果的です。

乳歯や生えかけた永久歯を持つお子さんがおられたら、歯科医院で定期的にフッ素を塗布してもらいましょう。高い虫歯予防効果がありますし、合わせて歯科医師、歯科衛生士がお口の中をチェックもしれくれます。

半年に1回程度の塗布を繰り返すことで効果が得られます。フッ素を年2~4回程度塗布した場合の虫歯を抑制効果は30~40%といわれています。

3)フッ化物洗口

フッ素洗口液でぶくぶくうがいをする方法です。毎日行う方法と、週1回行う方法の2つがあり、それぞれ使用するフッ素濃度が異なります。

ちゃんと決められた方法で調整された洗口液であれば、誤って全てを飲み込んでしまっても、体への害(急性毒性)はありません。フッ化物洗口での虫歯抑制効果は40~50%といわれています。

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