こんにちは。「南森町スマイリー歯科」「よしむらファミリー歯科」の院長を務める吉村 佳博です。
知覚過敏(象牙質知覚過敏症)は、おもに冷たい水や食べ物、冷たい空気などの刺激が歯に直接あたることで、痛みが出ることです。また逆に、お湯や温かい食べ物の刺激で同じように痛みを引き起こすことがあります。
どちらの痛みもほとんど一時的のもので、長い時間痛みが持続することはほとんどありません。いいかえると、痛みが長い時間続く場合は、虫歯と見分けることが必要で、その結果によってその後の対応が変わってきます。
1、知覚過敏の原因
1)歯ぐきが下がって歯根が露出する
歯磨きや歯周病により歯ぐきが下がる、痩せてくると、歯根の部分が徐々に露出してきます。歯根はエナメル質に覆われておらず、歯ぐきが下がることで刺激を直接受けることになります。
2)エナメル質が薄くなる
加齢や硬いものをよく食べるために歯がすり減ったり、欠けたりすると、エナメル質の部分が薄くなり、象牙質に刺激が伝わりやすくなります。
3)虫歯の治療の影響
虫歯の治療で、歯髄を残している場合、詰め物やかぶせ物によって歯髄に熱が伝わりやすくなることがあります。
2、知覚過敏と虫歯の違い
知覚過敏の場合、冷たい物を飲んだり食べたりした時に瞬間的に痛みを感じますが、その後、数秒間ほどで痛みは治まっていきます。
虫歯の場合は、冷たい物だけでなく、何かしらものを食べた時、数分間にわたって持続的な痛みを感じます。進行した虫歯の場合は、何もしなくても慢性的な痛みを感じる場合もあります。
3、自宅で出来る対策
知覚過敏に対して自宅でできることがいくつかあります。
1)歯磨きやフロス、歯間ブラシの時にかける力を弱く(軽く)する
歯を磨く時、しっかり汚れを落としたからと硬い毛質のブラシでゴシゴシと磨いている方が多いようです。これは歯を綺麗にするだけでなく、歯ぐきを傷つけ、歯ぐきが下がる原因になります。
ブラッシングの時にかける力は、料理で使う「はかり」に歯ブラシを押しあててみることでわかります。この時150~200gになる力が、歯磨きにおける最適な力です。実際の歯磨きでは、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽さです。きっと皆さんが思っている以上に軽い力かと思います。この程度力でもしっかり歯垢は落とせます。
最近では、ブラッシングの力の入れすぎを音で知らせ、かつ歯垢もしっかり落とせる歯ブラシ(クリニカNEXT STAGE歯ブラシ)もスーパーやドラッグストアで発売されています。一度お試しください。
歯間部の汚れを落とすためにデンタルフロスや歯間ブラシを使う方もおられます。これも、歯ぐきを下げる方向に力をかけると、知覚過敏の原因になります。
2)ブラッシング方法を見直す
歯ブラシの力加減と合わせて、歯の部位に合わせてブラッシングの仕方、ブラシの動かし方も見直してみましょう。ただし我流ではいけません。
最初は歯科医師、歯科衛生士にチェックしてもらい、皆さんそれぞれのお口の状態や歯磨き時のクセなどもあわせて、部位ごとの磨き方を指導してもらいます。それを自宅でも続けることが大切です。
3)知覚過敏をケアする歯磨き粉を使ってみる
最近では、知覚過敏の方へ刺激の少ない専用歯磨き粉がいくつか販売されています。「シュミテクト」「デントヘルス」などがよく見かけるかと思います。一度試してみてください。
また、前述したブラッシングを見直す時に歯科医院でおすすめの歯磨き粉を教えてもらうのも1案です。
4)歯ぎしりや食いしばりを減らす
歯ぎしりや食いしばりは、歯を横に倒す方向に力がかかるため、歯ぐきが下がる原因になります。寝ている間だけにしか起きていないと思われがちですが、日中でも無意識のうちに起きていることがわかり、Tooth Clenching Habit(TCH)という名前で呼ばれています。TCHの対策としては、上の歯と下の歯を接触させないよう、時々気をつけることから始まります。
寝ている間の歯ぎしり、食いしばりについては、マウスピースを歯科医院で作製してもらいましょう。仕事中などは、上の歯と下の歯を接触させないよう、時々気をつけてみてください。
4、上記でも知覚過敏が解決しない場合
自宅でできることは上記のように限られますので、歯科医院で相談することになります。
歯科医院では、歯の表面を透明な液体を使ってコーティングする処置、レーザーを照射する処置、神経を取る処置など、様々な処置方法で知覚過敏に対応します。